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【特集インタビュー フェムテックプレス・スクープ】
男性育休の取得バイアスを解いていくためには、
「やってみること」「見せていくこと」
そして「相手を思いやれること」が大切。

フェムテックプレス編集部

2023.06.09 10:00

ビジネスにアイデアをひとさじプラス———。
「フェムテックプレス」掲載のプレスリリースから、フェムテック・フェムケア業界のトレンドワードをキャッチアップし、企業担当者にインタビューします。

Vol.04のキーワードは「男性育休」。
育休取得への「職場の理解」や「風土醸成」が、取得率や取得日数増加にもつながると言われる「男性育休」。取得者数が年々増加し、2022年8月時点において72.7%と7割を超える取得率となった、株式会社ALL CONNECT(オールコネクト)にお話を伺いました。

「社会をにぎやかに!」をビジョンに掲げ、通信回線や電力などのインフラを中心とした商品・サービスの提供から、近年は地域振興事業に注力している株式会社ALL CONNECT(オールコネクト)。
「仕事もプライベートも充実させて、豊かな人生を送ってほしい」という会社の想いを実現するため、社員自ら休日数を選べる、独自の制度「年間休日選択制」を設定しています。
また、男性育休制度の法改正から1年。まだまだ取得しづらい企業があるなか、オールコネクトには「男性も育休を取って当たり前」「珍しいことではない」という風土が、すでに出来上がっているそうです。広報の熊谷 久さんと松田優奈さん、実際に育休を取得した人事戦略課の南里健太さんに、職場の理解や風土醸成に必要なこと、男性育休の取り組みについてお話を伺いました。

【Profile】
株式会社ALL CONNECT(オールコネクト)
広報 熊谷 久さん/松田優奈さん
人事戦略課 南里健太さん

【INDEX】

●社内評価制度により、年齢や性別に関係なく平等にキャリアアップできる。
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●すでに女性が働きやすい環境が醸成。産休復職後も待遇・キャリアは変わらず働ける。
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●“仕事の属人化”を防ぐため定期異動を実施。育休中の仕事をできる人たちでカバー。
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●「やってみること」「見せていくこと」そして「相手を思いやれること」。
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社内評価制度により、年齢や性別に関係なく
平等にキャリアアップできる。

—— 御社は、年齢や入社年次関係なく、若手スタッフでもチャレンジできる環境が整っているように感じています。企業風土や働きやすい環境づくりについてお聞かせください。

社員の平均年齢は29歳ですが、年齢や性別に関係なく平等にキャリアアップできる環境が整っています。大きな指標のひとつが、社内の人事評価制度(実績・規律・姿勢)です。男女差なく評価でき、3要素を総合的に判断して成績が良ければ、責任あるポジションや役職に就くことができます。現在20代・30代の役職者は86.3%、うち44.4%が20代で、役職者の女性比率は36.3%となっています。

あと、働きやすい環境づくりとしては、社員自ら休日数を選べる「年間休日選択制」でしょうか。「週休3日制」を採用している企業は増えてきていますが、年に一度、107日・120日・130日・140日・150日の中から年間休日を選択することができるのは、弊社ならではの制度です。

たとえば「スキルアップを目指し、今は仕事を頑張りたい」「子どもが生まれたので、家族との時間を優先したい」など、ライフステージの変化にも柔軟に対応でき、ライフスタイルに応じた働き方を自ら選ぶことができます。
平均残業時間は9.27時間、有休取得率98.5%を実現し、ワークバランスを重視した環境が整っています。

すでに女性が働きやすい環境が醸成。
産休復職後も待遇・キャリアは変わらず働ける。

—— 女性の役職者比率が36.3%は、政府が2030年を目標に掲げている「指導的地位に占める女性の割合を30%」をすでにクリアしていますね。

私たちは創業当初から、性別にとらわれない働き方を重視してきました。今年3月、女性が働きやすい環境が整っていることを評価いただき、本社のある福井県で「ふくい女性活躍推進企業優良活動表彰 企業部門」を受賞しました。
受賞時、壇上のスピーチで「女性管理職を増やすための取り組みについて」の質問をいただきましたが、特別に行っていることは正直ないといいますか・・・私たちだけ「何もしていません」と答えました(笑)。
女性の価値を向上させるための取り組みは行っていませんし、女性活躍を推進するこの時代に、すでに女性が働きやすい環境づくりが醸成されていただけなんです。

—— 特に女性の場合、若くして管理職のように役職のあるポジションに就くと、キャリアのことを考えて、妊娠・出産に不安を覚えたり、ためらったりしてしまいそうですが。

現在、女性の産休・育休復帰率は平均74.1%です。こちらについても、創業当初から女性役職者が積極的に取得していました。
社内のスタッフたちは、上層部が当たり前に産休・育休を取得し、復職しても同じ業務と待遇で変わらず働いている姿を見ていますので、他のスタッフも心配することなく取得、復職しています。

会社としても、仕事と子育ての両立をサポートできるよう、時短制度や在宅勤務制度など、柔軟かつ安心して働けるような環境づくりをしています。

“仕事の属人化”を防ぐため定期異動を実施。
育休中の仕事をできる人たちでカバー。

—— 女性だけではなく、男性の育休取得者も年々増えているそうですね。取得促進への働きかけといった、何か取り組みをされていることはありますか。

女性スタッフの産休・育休が普通のことのように、男性スタッフの育休も当たり前に取るようになっています。実際のところ、2022年8月時点では72.7%(※子どもが生まれた男性社員11人のうち、育休取得した男性社員8人)と7割を超え、年々増加しています。
会社としては、人事から「男性育休についてのお知らせ」のようなものは発信していますが、とくに積極的に取得を促すような働きかけは行っていません。

——今の日本では、取得したいけれど人材不足で長期の育休が取れない、社内に前例がないなどといった、職場環境によって取得を諦めざるを得ない人が多いように感じています。

たしかに、そういうお話を耳にすることはありますね。そもそも産前・産後、育休は「社員に与えられた権利」で、育休を取るか取らないかは個人の自由です。育休に限らず、体調不良や家庭の事情などによって、有休を取らなければならない状況があるかもしれません。

誰にでも起こりうることですし、どんな理由であろうと、取得する相手のことを思いやれるかどうかではないでしょうか。
よく「お休みをいただいてすみません」というスタッフがいるのですが、「謝る必要はまったくないよ」と話をしています。

——「仕事や職場に迷惑がかかる」「復帰後のポストや出世が不安」など、本人自身が考え悩んでしまうのではないでしょうか。

私たちは、“仕事の属人化”を防ぐために、定期異動を実施しています。いろんなスタッフが、いろんなポジション、もしくは責任や役割をこなせるようになってもらいたい。「スペシャリスト」というよりは「ジェネラリスト」を育てていきたいと考えています。
男性女性に限らず、育休に入るスタッフがいる場合は、そのスタッフのポストを別のスタッフがカバーしたり、組織的に調整したりするなど、柔軟に対応できるようにしていますし、復職後は、取得前の業務・ポストにそのまま戻ることができますので、会社に迷惑がかかると、仕事のことを心配する必要はありません。

——男性育休取得者が増えているなか、南里さんはどのようなきっかけで取得しようと思われたのでしょうか。

もともと取得しようとは思っていましたが、ただ子どもが生まれるまでは、取得については考えていませんでした。実際に子どもが生まれて育休を取らなければ、妻がどれだけ大変な思いをしているのか、正直わからなかったと思います。
特につらいと言われている退院後、家に一人でいるのは不安が大きいことは想像できました。その不安を妻一人に背負わせるのではなく、自分も父親としてその責任を一緒に背負いたいし、一緒に子育てをしたいと思いました。子どもが生まれてから考え方が変わりましたね。

—— 育休取得は奥様も心強かったのではないでしょうか。実際にどのくらいの期間取得されたのでしょうか。

半年間や1年間というスタッフもいますが、私の場合はちょっと特殊で10日間を2回取得しました。
先ほど「当たり前の権利だから、仕事のことは気にしなくていい」なんて言いましたけれども、僕自身は気にするタイプで(笑)。ですので、他のスタッフに任せても大丈夫な業務と自分でやる業務を切り分けて、スケジュールを調整しながら育休に入りました。

——育休中はどのように過ごされていましたか。

昼夜問わず、子ども中心の生活でしたね。ミルクをあげたり、おむつを取り替えたり、お風呂に入れたり、あやしたり、寝かしつけたり。正直、本当に大変だったなという感覚しか覚えてないくらい、とにかくあわただしく過ごしていました。
夫婦で子育てする時間を過ごしたか、過ごせなかったかだけで、妻への日々の感謝の気持ちがかなり変わってきますし、一緒に過ごす時間が持てて本当に良かったです。取った後「もっと取っておけば良かった」とも。今後、もしそういう機会が生まれたら、その時は1ヵ月とか2ヵ月とか取りたいですね。

—— 育休を取得すると言った時の奥様の反応はいかがでしたか。

「助かった」と言われました。やはり不安だったんですよね、どちらの親にも頼ることができない状況でしたので。妻は私が仕事を頑張っているのを知っていましたので、なかなか育休をとって欲しいと言いづらかったようです。だから自分から「育休を取るよ」と言ったら、とても喜んでくれましたし、復帰する時にもすごく感謝されました。
たとえ頼れる環境があったとしても、子育ては自分たち夫婦のことなので、二人で乗り越えていかなければならないと思っていました。

—— 目まぐるしい日々を終え、復職後、働き方に変化はありましたか。

一番大きな変化は「年間休日」を変更したことです。子どもとかかわる時間をもっと取りたかったので、107日から120日に増やしました。
あと当初取得は、10日間を1回の予定でしたが、育児にもっとかかわりたいと。父親としての自覚が生まれたこともあって、2回目を取りました。
実際に自分が育休を取得してみて、育休や病欠など休みをとらなければならない状況が生まれても、何も気にすることなく取得してもらいたいと、より強く思うようになりましたね。

「やってみること」「見せていくこと」
そして「相手を思いやれること」。

—— 御社のように男性育休を取得する風土、社内制度や体制が整っている企業は少ないと思います。また取得を阻むバイアスが存在するのも事実。導入するにあたり、大事なことがあれば教えてください。

そうですね。男性育休については、すでに風土があることを前提にアドバイスをさせていただくとしたら、実際に導入してみないと社内の課題は見えてきません。私たちは創業当初から「とりあえずやってみる」という風土があり、正直その「やってみること」が一番大事なのではないかと考えます。
あとは、とにかく「事例をつくること」。社員が安心して取得できるように、たくさん事例を作って、その事例を「見せていくこと」もできるのではないでしょうか。
何度もお伝えしていますが、他人事ではなく、自分事として「相手を思いやれること」も大切です。

—— それでも育休取得が難しい・・・そんな男性たちはご家庭でどんなことを心掛けたらよいかアドバイスがあればお願いします。

とにかく「女性の大変さを理解すること」だと思います。大変なことを心底理解する。僕は理解するまでに10年くらいかかりました。

育児は本当に大変なので、一緒に大変さを味わえないのであれば、積極的に家事育児をしてください。そっと食器を洗う、お風呂を洗う、洗濯をする。「手伝うよ」というワードを使わずに、何も言わずにそっとサポートしてあげるのはどうでしょうか。

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【Company Data】
「販売代理業」「MVNO事業」「EC/メディア事業」の3つの事業をメインに展開。
通信のインターネット販売のパイオニアとして、お客様の毎日の生活に変化をもたらす新しいサービスを展開。

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