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【特集インタビュー 株式会社LIXIL様】
トイレは自分の体と向き合える場所。
ライフステージを通じて女性の健康に寄り添い続けたい。

フェムテックプレス編集部

2024.04.19 11:57

ビジネスにアイデアをひとさじプラス———。
「フェムテックプレス」掲載のプレスリリースから、フェムテック・フェムケア業界の
トレンドワードをキャッチアップし、企業担当者にインタビューします。

Vol.10_01のキーワードは「トイレから女性の健康に寄り添う」。

世界150ヵ国以上で事業を展開する、住宅建材設備メーカー「株式会社LIXIL」は今年で水まわり・タイル国内事業が100周年を迎えます。そして、お風呂やトイレといった水まわり空間を「第3空間」として、単なる機能としての空間から、美しく、快適で、安らげる空間に変えることを提案し、商品やサービスを提供し続けています。

今回は2回にわたり、女性の健康に寄り添う「トイレ」と「浴室」の2つの商品についてご紹介します。

前編となるVol.10_01は、「トイレから女性の健康に寄り添う」をテーマに、INAXのビデ専用ノズルを訴求するプロジェクトを牽引している、山﨑さんと中原さんにお話を伺いました。

【Profile】(右から)
トイレ空間事業部 山﨑 萌さん
マーケティング部門 中原誓子さん
浴室事業部 小栗綾子さん

【INDEX】

● 35年以上の時を経て気運が高まる今、「ビデ専用ノズル」を改めて訴求。


●「生理」という言葉を発しづらい時代のなかで、女性社員の声から誕生したビデ機能。


● セミナーや勉強会を通じて、営業のプロの方にもビデやトイレの良さを知ってもらいたい。


● トイレは自分の体と向き合える場所。一生涯を通じて女性の健康に寄り添い続けたい。


【イベント取材レポート】
LIXIL×慶應義塾大学 環境情報学部 中澤研究室 子ども向けイベント
「いのちのマラソン~食べ物の入口と出口のおはなし~」體(からだ)の中と外のひみつ大発見!


35年以上の時を経て気運が高まる今、「ビデ専用ノズル」を改めて訴求。

—— はじめに、御社の事業についてお聞かせください。

中原さん:LIXILは2011年、INAX・TOSTEM・サンウエーブ工業、東洋エクステリア、新日軽という5社が統合しました、住宅建材設備のメーカーです。
その他にグローエ、アメリカンスタンダードといった世界的な主要ブランドを通して、使いやすさや美しさを追及した水まわり製品、また水まわりだけではなく、窓やエクステリア製品、インテリア建材といった内装製品も提供しています。世界中の誰もが願う豊かで快適な住生活の実現を目指して、事業を行っております。
2024年はLIXILの水まわり・タイル100周年を迎える年で、これからもお客さまからご愛顧いただけるよう、皆さまの暮らしに寄り添った商品をお届けできればと考えています。

—— 100周年おめでとうございます!トイレもお風呂も、驚くほど快適におしゃれに進化していますよね。現在、トイレ空間事業部の山﨑さんとマーケティング部門の中原さんは、お二人揃ってどのような活動をされているのでしょうか。

山﨑さん:私たちはトイレの「ビデ専用ノズル」を訴求するメンバーとして、私の所属しているトイレ空間事業部、中原が所属しているマーケティング部門、それぞれ2名ずつに加えて広報2名の、男女年齢問わず、部署を横断したメンバーで活動しています。

「ビデは母親から使い方を教えてもらっていなくて、お恥ずかしながら入社して初めて使用しました」入社以来トイレ事業部所属の山﨑さん

活動のテーマは「ビデ専用ノズルの訴求」です。じつは当社のトイレは、35年以上前よりおしり専用とビデ専用の2本のノズルを搭載していました。今、女性の活躍が進むなかで、女性特有の健康課題を解決するフェムテック、フェムケアの注目が高まっています。私たちはこれまでデリケートゾーンをケアするフェムケア商品を作り続けていたものの、なかなか表立ってお伝えすることができていませんでした。

社会的意義もあり、ビジネスとしても魅力がある。フェムケア市場が盛り上がっている今だからこそ、改めて「ビデ専用ノズル」を訴求できるのではと考えました。

—— 部署横断型ですが、日々のコミュニケーションはどのように取られているのでしょうか。

山﨑さん:在宅勤務ですので、基本はビジネスチャットで行っています。その場で感じたことだったり、このプロジェクトのこの部分はどうなのかということを話し合ったりと、すごい速さでやりとりが進んでいます。
またメンバーは、東京と愛知の違う拠点で活動しています。活発に意見が交換できるように、週1回のペースでミーティングを行っています。顔を合わせて話をしたほうがいいよねと合意したことについては、出社をしてミーティングをしたりすることもあります。

「生理」という言葉を発しづらい時代のなかで、女性社員の声から誕生したビデ機能。

—— 35年も前からトイレにビデ機能を搭載しているとは知りませんでした。御社の商品の歴史について教えてください。

山﨑さん:業界初のビデ洗浄は、1981年に1本ノズルで発売しました。お客さまの色々なお声をもとに、お客さまのニーズに合わせて、7年後の1988年には「レディスノズル」という名前で、2本のノズルを発売しました。
じつは当社のビデ開発の原点は、今から40年以上前の「女性社員の声」でした。男性中心の開発現場で、女性社員自身が、モニター調査などの試験を何度も繰り返しい行ったはずです。開発に携わった女性社員たちは、けっこうな勇気だったと推察します。

INAXのシャワートイレは35年以上前からノズルが2本あった!映画予告風のスペシャルムービーがYouTubeで公開中

もともと福祉用だったシャワートイレを一般用に開発したこともチャレンジでしたし、使用者は男性も女性もいます。トイレも含めて今のLIXILのものづくりは、「ユーザーの方がどんなことを求めているのか」ということを考えて研究していますので、その当時からすでにものづくりスピリットがあったのだと思います。

—— 男性社会の時代、デリケートゾーンケアに対する啓蒙はほぼされていなかった時代に誕生したビデ機能。開発時は色々なご苦労があったことと思います。7年後に発売されたノズルが2本搭載されたトイレは、どういった経緯で開発されたのでしょうか。

山﨑さん:開発のきっかけは「デリケートゾーンをおしり洗浄と同じノズルで洗いたくない」という声でした。1本ノズルですと、おしり洗浄時に便のはね返り汚れが気になりますよね。大切なデリケートゾーンの洗浄には、ビデ専用ノズルが必要とのことで、おしりとビデそれぞれの専用ノズルを開発しました。現在は全機種のシャワートイレが、2本のノズルになっています。

—— 2本のノズルは女性の声から生まれたんですね。御社の商品は女性の声とともに進化していますが、最新の機能はどういったものでしょうか。

ワイドビデ洗浄の機能やノズルが手軽に洗えることなどを紹介(LIXILショールーム東京)

山﨑さん:ノズルが前後に動いて広範囲に洗浄できる「ワイドビデ洗浄」です。生理中のデリケートゾーンは、経血でけっこう広い範囲で汚れているかと思います。これまでのビデ機能は、だいたい決まった位置を洗うことを前提に設計していましたが、調査をしたところ、「幅広く洗いたい」という声があがり、従来よりも幅広い範囲を、ノズルが自動で前後して洗浄するようになりました。

さらに女性社員のなかから、「自分でずらしながら広範囲を洗っている」という声が上がってきたことにより、「スーパーワイドビデ洗浄」が誕生しました。
温水の肌当たりや洗い心地のやさしさも大切にしています。空気を混ぜつつ複数の穴から温水を出すことで、より広範囲でソフトな洗い心地を実現するなど、気持ちよくしっかりと洗えるように工夫をしています。

セミナーや勉強会を通じて、営業のプロの方にもビデやトイレの良さを知ってもらいたい。

——フェムテック・フェムケア市場の盛り上がりにより、デリケートゾーンケアの大切さが周知され始めました。フェムテック元年以前と以降で、ビデ専用ノズルの認知やシャワートイレの販売施策に変化はありましたか。

「今後もお客さまのお声を聞ける機会を増やしていきたいですね」と語る、マーケティング部門所属の中原さん

中原さん:35年以上前から搭載していた「ビデ専用ノズル」ですが、近年フェムテック・フェムケア市場の成長に伴い、「ビデ専用ノズル」がもたらす価値が、女性にとってより重要になってきているのではと考えており、フェムケア製品としてイベントなどにも出展しています。
昨年12月の「Femtech Japan Award 2023」では、おかげさまで銀賞をいただいたこともあり、皆さまにより認知していただけたり、よりお客さまの率直な感想を聞くことができたりするようになりました。

最近は、デリケートゾーンの専用ソープが販売されているのを見かけるようになりましたよね。ケアしたいけれども難しいことはちょっと・・・まさに自宅にあるシャワートイレで簡単にケアできることに気づいていただけるきっかけが、生まれているのかなと感じています。

山﨑さん:Femtech Japanのイベントには、来場者に男性の方もけっこういらっしゃって、その時に「ノズルが2本あるのはいいですね」というお声や「同じノズルで洗わないことがお互いにとってうれしい」というお声をいただきました。女性のデリケートゾーンを洗うという機能ではありますけれども、女性だけにお話するのではなく、まわりの方も含めてお話していくのがいいのではないかと考えています。

INAX シャワートイレ ビデ専用ノズルが「Femtech Japan Award 2023」において「SILVER(銀賞)」を受賞/写真はプレスリリースより

これまでビデ専用ノズルについて、あまりお伝えできていなかったなという反省もありましたね。ですので、この時流が追い風になりましたし、男性の営業スタッフにも伝えないといけないねという気持ちになってきたのは、世の中の流れではあるのかなと思いました。

—— 営業先のお取引企業様にはシャワートイレの良さをどのようにご説明されているのでしょうか。

山﨑さん:昨年からセミナーや勉強会の機会をたくさんいただいています。「女性に毎日をいきいきと過ごしていただくために、INAXとしてはビデやトイレを通じて女性に寄り添っていきたい」そうお伝えしています。フェムテックという言葉について、私たちはだいぶ慣れて当たり前のように使ってしまうんですけれども、男女問わず知らない方も多いです。
フェムテック市場の流れをお伝えすると、私たちの想いや取り組みに賛同してくださり、伝えてみますと言ってくださる方もいれば、ちょっと恥ずかしいですという方も正直いらっしゃいます。
どんな方にでも簡単にお伝えできるような、お渡しするだけで良さが伝わるパンフレットを作成するなど、色々と取り組んでいる最中です。営業のプロの方のお困りごとにも寄り添いながら、しっかり伝えていけたらいいなと思います。

トイレは自分の体と向き合える場所。一生涯を通じて女性の健康に寄り添い続けたい。

—— シャワートイレやビデ機能を通じて、どのような情報やメッセージを発信していきたいですか。

「INAXのシャワートイレはノズルが2本」紹介サイトhttps://www.lixil.co.jp/lineup/toiletroom/s/2nozzle/

中原さん:先日、私たちが調査した結果によると「ビデの使い方を誰にも教えてもらったことがない」という方が、半数近くいらっしゃったことが課題だと感じています。
私たちのWEBサイトでも、ビデ洗浄について産婦人科専門の先生が推奨してくださっています。ビデの正しい使い方を皆さまにお伝えしていくことが必要だと考えています。

ビデは、月経がある女性のための機能だと思われるんですけど、産後や更年期など一生涯を通じて使えること、使うことで快適に過ごせることを知っていただきたいです。

山﨑さん:トイレも浴室も自分の体と向き合える場所でもあると思っているので、そこで自分の変化に気づいて、アクションが起こせるといいなと思いますし、それにつながる商品ができるといいなと思います。

イベント取材レポート
LIXIL×慶應義塾大学 環境情報学部 中澤研究室 子ども向けイベント
「いのちのマラソン~食べ物の入口と出口のおはなし~」體(からだ)の中と外のひみつ大発見!

3月23日(土)にEAT GOOD PLACE(IKE・SUNPARK内)で開催された、子ども向けイベント「いのちのマラソン~食べ物の入口と出口のおはなし~」の様子をご紹介します。

本イベントは、體(からだ)は食べ物でできていること、プライベートゾーンを「マラソン」に例えて紹介しながら、プライベートゾーンの場所やケアの方法を男女一緒に学んでいくプログラムです。

まずは、本田先生とエイト特派員と一緒に、自分の「からだ」について知ることからスタート!
「にんげんの體(からだ)を支えているものは?」「食べ物の入口(くち)から出口(おしり)までの道のり(長さ)は?」「にんげんのうんちや動物たちのうんちの量は?」といった質問に、参加した子どもたちが答えたり、道具や絵本、イラスト図解などを活用したりしながら、からだの仕組みや部位の役割などについて、楽しみながら学んでいました。

また「プライベートゾーン」のことを、“からだをつくるための工場” “未来のいのちにつながっている大切な場所”と表現。とても大切な場所だから「他の人に見せてはいけない場所であることを覚えてほしい」と伝えていました。
食べ物の出口から出るのはうんちやおしっこの他に、女の子には赤ちゃんの通り道と出口があり、皮膚がうすいから「デリケートゾーン」と呼び、成長していくと赤い血(経血)が出ることについても話がありました。

実験タイムでは、食べ物の出口を大切(キレイ)にする方法を学んでいきます。ボランティアで参加した高校生と一緒に、シャワートイレやビデに見立てたアイテムを使いながら、水で洗うことでやさしくキレイに洗えることを、自分たちの手を使って体験。
その後はINAXのシャワートイレの実機をみながら、おしりを洗う機能やビデ機能について説明を受けていました。

本田由佳先生にインタビュー

――イベントプログラムのポイントについて教えてください。

国際セクシュアリティ教育ガイダンスという、包括的な性教育を提唱している本があります。ウェルビーイング達成のために、性教育だけではなく、権利や発育発達、医学的なことなどを総合的にアプローチしています。
グローバルで考えると、5歳から8歳の間にしっかりと解剖学的なことと仕組みを学んだうえで、性について学んでいくことが重要と言われています。
今日は小さいお子さんたちにも、解剖学のことも含めて、ケアする大切さを楽しく学べるプログラムにしました。

――デリケートゾーンのことやビデの使い方など、親御さんはどのように伝えていくのがよいでしょうか。

生理が来たからといって、いきなりビデの使い方を説明してもわからないかと思います。5歳くらいから段階を追って、体の仕組みや変化について繰り返し学んでいくことが大事です。
本日のイベントで使用した資料は「3eヘルスクリエーション教育プログラム」といいます。3eはエンターテイメント・エビデンス・エデュケーションの3つの要素を併せ持つ、医学的なことを伝えるためにエンターテイメントやアートといった、楽しいワクワクすることを組み合わせた教材です。

お子さんと一緒に学ぶ時には、こういった教材を利用していただいたり、仕掛け絵本などを活用してはいかがでしょうか。
体の仕組みと体の名称、覚えたうえで、デリケートゾーンを清潔にする意義、シャワートイレやビデの大切さを伝えるのがよいかと思います。


次回vol.10_02は、お湯に"ハグされる"ような浴び心地を体感できる「ボディハグシャワー」についてご紹介します。


【Company Data】

LIXILは、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいを実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。ものづくりの伝統を礎に、INAX、TOSTEM、GROHE、American Standard、をはじめとする数々の製品ブランドを通して、世界をリードする技術やイノベーションで、人びとのより良い暮らしに貢献しています。現在約55,000人の従業員を擁し、世界150ヵ国以上で事業を展開するLIXILは、生活者の視点に立った製品を提供することで、毎日世界で10億人以上の人びとの暮らしを支えています。

【関連プレスリリース情報】

■ INAX シャワートイレ ビデ専用ノズルが「Femtech Japan Award 2023」において「SILVER(銀賞)」を受賞
https://femtechpress.jp/15050/

■ 女性特有の健康課題解決へ向けたテクノロジーやサービスの展示会「Femtech Japan 2023/Femcare Japan 2023」に出展
https://femtechpress.jp/14376/

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