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【特集インタビュー フェムテックプレス・スクープ】
日々忙しい女性が、自分らしく自然体でしあわせに過ごせるように
繊維製品で寄り添っていきたい。

フェムテックプレス編集部

2023.12.04 15:17

ビジネスにアイデアをひとさじプラス———。
「フェムテックプレス」掲載のプレスリリースから、フェムテック・フェムケア業界のトレンドワードをキャッチアップし、企業担当者にインタビューします。

Vol.06のキーワードは「健康不安に繊維で寄り添う」。

女性の悩みや健康面の不安をテクノロジーの視点からサポートする、フェムテックブランド「itoomof.(いとおもふ)」の展開を今年4月からスタートさせた、繊維商社「帝人フロンティア株式会社」。高機能繊維や繊維製品製造技術を活用して誕生したアイテムは、商品設計のすべてを社内の女性社員がプロデュースしています。
インタビューのなかでは、フェムテックアイテムの代表ともいえる吸水型サニタリーショーツについて、「私たちはあえて作らないことにしました」といった、製品企画でのエピソードも。
「いとおもふ」ブランドに込めた想い、やりがいや難しさ、挑戦の先に見据える未来とは。プロジェクトメンバーの清水さん、丸山さん、森さんにお話を伺いました。

【Profile】
帝人フロンティア株式会社
新事業推進本部 新事業開発部
清水 けい子さん
森 亜津紗さん/丸山 詠子さん

【INDEX】

● 女性のお困りごとを解決する製品を繊維を使って作りたい。
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● 商品開発は部署を横断。悩みやニーズを洗い出し、繊維の特性や技術面から検討。
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● 悩みを気にせず、自然体でしあわせに暮らしていけるように。
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女性のお困りごとを解決する製品を繊維を使って作りたい。

—— フェムテックプロジェクトの立ち上げと携わるようになった経緯について教えてください。

清水さん:社内でフェムテックプロジェクトが発足したのは、昨年4月になります。前任のプロジェクトリーダーが、盛り上がっているフェムテックの市場動向と、繊維の商社である私たちだからできる、女性のお困りごとを解決する繊維を使った製品が作れないか、といった想いから始まりました。

勤務地が大阪と東京と離れているため、チャットやオンラインでのコミュニケーションが欠かせません(清水さん)

メンバーは女性の営業職を中心に集められ、昨年1年間は一緒に活動している丸山と森の他に、繊維の研究をしている技術開発部のメンバーが参加し、既存商品をフェムテックの角度から見直したり、検証をしたりしながら、商品の企画や開発などの準備を進めてきました。
今年の4月からは、市場調査から商品開発、サイト運営、販売、展示会出展、広告までプロジェクトにかかわることは、すべて3人で担当しています。

—— プロジェクトメンバーにアサインされた時、「フェムテック」についてはご存じでしたか。

丸山さん:ユニクロさんが吸水サニタリーショーツを発売したころ、その当時のお取引先のお客様から「フェムテック関連のことがやりたい」というご相談やお話をいただく機会が増え、そこでフェムテックについて知りました。

森さん:繊維の会社ですので、繊維関連の情報や他社さんから吸水型ショーツが発売されたことは知っていました。その他のアイテムについては、あまりイメージがない状態でした。

—— 今年4月から展開が始まりましたフェムテックブランド「いとおもふ」に込めた想いを教えてください。

丸山さん:忙しい日々を送る女性は、健康面の不安や悩みなどそれぞれに大変な場面があり、それによって自己肯定感が低くなってしまったり、くよくよしてしまったり。様々なものを抱え込んでしまう女性に、「私たちがあなたに代わって、あなたをいとおしく思います」という想いを込めて、「itoomof.(いとおもふ)」と名付けました。

ロゴの書体についても、やさしさを出すために少し柔らかい書体にしています。(丸山さん)

清水さん:お客様から「いとおもふの“いと”は、繊維の“糸”だと思っていました」と言っていただくことも多くて。後付けではありますが、糸という意味もあることにしています(笑)。

—— プロジェクト発足から1年半、ブランド展開からは半年が経ちましたが、プロジェクトのやりがいや難しさをどのように感じていますか。

アイデアが浮かんだらすぐメンバーに共有します(清水さん)。

清水さん:自分が感じている不調や悩みと、フェムテック市場で取り上げられている健康課題が結びついていて、その症状を未然にケアしたり、サポートしたりするために必要な機能を、どう商品に結びつけることができるか。そういうところを考えるのは、やりがいや面白みではある反面、商品化して実際に売れるのかという市場ニーズや、販売展開については難しさをすごく実感しています。

森さん:営業部に在籍中は、自分が作りたいものを作って販売するというよりは、会社としてやらなければならないこと、既存の業務を引き継いだりすることが多かったのですが、このプロジェクトでは、どういったものが欲しいか、どういったものを作ったらいいかを自分で考えて、商品化できるということは面白いですし、やりがいを感じる部分ではあります。
一方で清水が言っていたように、自分が作る商品と市場のニーズはマッチしているのかどうかが、商品を作り出すことの難しさだと感じています。

商品開発は部署を横断。悩みやニーズを洗い出し、繊維の特性や技術面から検討。

—— 「itoomof.(いとおもふ)」の商品開発は、どのように行っているのでしょうか。

丸山さん:自分たちだけではなく、まわりの人の意見や部署を横断した社内へのアンケート調査から、どういったお困りごとがあるのか、ニーズがあるのかなどを洗い出しています。そのなかから、繊維の特性や技術的な視点で作れないかを検討していきます。
「いとおもふ」の第一弾商品の場合は、更年期の症状を調べたり、社内ヒヤリングをしたりするなかで、「ほてりやのぼせで、夜の寝汗がひどいんだよ」という声がありました。

また外部アンケート調査では、寝汗のなかでも「頭の汗が気になる」という意見が多かったことから、寝汗の影響を抑えることを目的とした商品であれば、私たちの繊維で作れるのではないかと考え、「枕パッド」を開発することになりました。
寝汗によるベタつきやニオイを、弊社の消臭性能や吸放湿性能を持つ高機能繊維で抑えることができるのか。寝汗による不快感に対して効果を発揮するのか。これらの機能を一番大切にしました。

汗かきさん用「安眠枕パッド」は、中わたにはテイジン独自の消臭素材「フレッシュコール®Z」、表地には、しなやかで柔らかい「ペアクール®(旭化成)」を採用。寝汗をかいた翌朝もニオイやベタつきがなく快適です。

—— 販売方法は「クラウドファンディングサイト」を利用されていましたよね。

丸山さん:正直、どれくらい売れるのか見通しも立っていませんでしたし、どれくらい受け入れられるかも知りたかったため、クラウドファンディングサイト(Makuake)を活用して、テスト販売をはじめました。

清水さん:汗かきさん用「安眠枕パッド」は、フェムテックという位置づけで作った商品ではあるのですが、男性の方でもけっこう寝汗に悩まれている方が多く、自分用に購入してくださったり、お子様や奥様へのまとめ買い、父の日と近かったこともあって、ご家族とかご両親とかに買っていただいたり。思いがけず、すべての世代に商品が広がりましたね。

—— お客様からの反応はいかがでしたか。

丸山さん:「寝ている間に汗をかいても、朝起きた時にはさらっとしていました」、「あまりニオイがしなかった」、「寝汗ですごく困っていたんで使いたいです」というようなコメントをいただきました。更年期症状の悩みで困っている方にも届いていることがわかりましたね。

—— 待望の第二弾は「おりもの専用ライナー」ですね。繊維の特性を発揮する製品として、吸水型ショーツという選択肢もあったのでしょうか。

清水さん:吸水ショーツについては、プロジェクトが立ち上がった時点で、すでに大手さんたちが手掛けていました。自社ブランドが参入しても後発になりますし、売り上げ規模は見込めないと予測して、私たちはあえて作らないことにしました。もともと軽失禁用のショーツをかなり昔から展開していたため、製品がかぶらないようにするためでもありました。

—— 市場では後発ポジションにあること、同じ特性を持つ製品があることが作らない決断の決め手だったんですね。では、「おりもの専用ライナー」に着目した理由を教えてください。

丸山さん: 汗をかいて蒸れやニオイ、かゆみなどが気になるという女性のお悩みに対して、フェムケアでは「デリケートゾーンは弱酸性なので、専用ソープで洗いましょう」と言われていますよね。
また、弊社のアンケートによると、使い捨てのおりものライナーについては「蒸れやかゆみ」、「ズレ」、「毛羽だち」などが気になるという調査結果が出ました。
私個人としても、ライナーの使い心地が気になっていましたので、売れるかどうかわからなかったのですが、おりもの専用のライナーを作りたいと思ったのが理由です。

ショーツタイプによって選べるように「羽あり」と「羽なし」を作りました(丸山さん)

生地表面に汗が付着すると、ニオイやトラブルの原因になります。「おりもの専用ライナー」には、弊社の「エコピュアー®」という防臭性・消臭性機能がある素材を採用しました。 生地表面のphをコントロールすることで、弱酸性に保つことができ、ニオイの元となる悪玉菌の増殖を防ぐことができる設計になっています。デリケートゾーンと同じ弱酸性の生地素材を使用していますので、デリケートな肌にやさしいのが特徴です。蒸れやかゆみ、おりものに困っている女性には、ぜひ知ってもらいたいですし、使ってもらいたいですね。

防水布を使っていないので、その分蒸れにくいという商品になっています(清水さん)

悩みを気にせず、自然体でしあわせに暮らしていけるように。

——「いとおもふ」の今後について、挑戦の先に見据える未来とは。

丸山さん:女性はライフステージによって、いろんな悩みを抱えているかと思います。そういった悩みも気にせず、自然体でしあわせに暮らしていけるようになればいいなと。それに対して私たちの「いとおもふ」が後押しできる存在になればいいなと思っています。

森さん:今までは悩みがあって当たり前というか、体調が悪くてもそれが当たり前みたいな感じでしたが、それがフェムテックの流れで少しずつ声をあげられるようになって、女性が快適に暮らしやすくなればいいなと思います。私たちの製品で根本的な解決は難しいかなと思っているんですけれども、抱えている悩みに寄り添っていけるような製品を今後も展開していけたらいいかなと思っています。

清水さん:今年は昨年アイデアを出し合ったものを1つずつ形にしていって、今年中にあと3アイテム予定しています。どの商品もそれぞれの世代に向けた商品展開になっているので、悩み事をひとつひとつ解決していけたらなと。また「いとおもふから出ている商品が欲しい」といってもらえるようなブランドに成長させていきたいなと思っています。

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【Company Data】
「メーカー」と「商社」という2つの異なるDNAが融合した企業体です。これまでになかった製品・サービスの創出にこだわる視点と、世界のトレンドをいち早く読みとり、市場ニーズにスピーディに対応する視点。この2つの視点をあわせ持つハイブリッド型組織から生まれるシナジーが強みです。

【関連リリース情報】

■ 抗菌・防臭性能を発揮し、繰り返し洗える母乳パッドを発売
https://femtechpress.jp/14698/

■ Femtech Japan Award 2023 エントリーブランドのご紹介
https://femtechpress.jp/14105/

■ フェムテックブランド「itoomof.」の新製品
 抗菌・防臭性能を発揮するおりもの専用ライナーを発売
https://femtechpress.jp/12797/

■ フェムテックブランド「itoomof.(いとおもふ)」の展開を開始
https://femtechpress.jp/9948/

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