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【特集インタビュー 株式会社LIXIL様】「ボディハグシャワー」は役割から離れて、自分自身に戻る場所。体も心までも温まる場所になれたら。
フェムテックプレス編集部
2024.05.14 15:59
ビジネスにアイデアをひとさじプラス———。
「フェムテックプレス」掲載のプレスリリースから、フェムテック・フェムケア業界の
トレンドワードをキャッチアップし、企業担当者にインタビューします。
Vol.10_02のキーワードは「お湯に包まれながら自分自身に戻る」。
開発期間に4年という歳月をかけて完成した、新感覚シャワー「ボディハグシャワー」。お湯に“ハグされるように包まれる”体感だけではなく、これまでのシャワーでは感じづらかった「温浴感」と「浴び心地」にもこだわり、シャワーノズルだけでも200種類以上の試作を重ねて誕生しました。商品開発の背景から開発でのこだわり、商品特徴や販促展開などについて、ボディハグシャワー開発担当の小栗綾子さんにお話を伺いました。
【Profile】(右から)
トイレ空間事業部 山﨑 萌さん
マーケティング部門 中原誓子さん
浴室事業部 小栗綾子さん
【INDEX】
●「シャワーだけでも温浴感が得られるような商品をつくりたい」約4年かけて誕生!
●5分間でどれだけ気持ちよく浴びられるか。お湯に包み込まれるような“浴び心地の良さ”を追求。
●役割から離れて、自分自身に戻れる場所。そして体も心も温まる場所になれたら。
「シャワーだけでも温浴感が得られるような商品をつくりたい」約4年かけて誕生!
—— 小栗さんは浴室事業部に所属とのことですが、どういったお仕事をされているのでしょうか。
私は「ボディハグシャワー」の商品企画を担当しています。ボディハグシャワーは、デザイン、設計にかかわるメンバーを中心にプロジェクトを進めていました。市場調査やコンセプト調査、商品試作、入浴評価などを繰り返し行い、いろんな方にご満足いただける商品を目指した結果、通常商品に比べて開発期間が長く、商品化まで4年以上の期間がかかりました。
—— 開発期間に4年以上も。ボディハグシャワーのような商品は初めてみました。商品開発の着想について教えてください。
ボディハグシャワーには、もともと「シャワー・ド・バス」という前身の商品がありまして、「シャワーだけでも温浴感が得られるような商品をつくりたい」という想いから生まれました。
ハンドシャワーですと、シャワーを当てている部分だけしか温まらないのですが、複数個所から一斉に浴びると、シャワーだけでも全身温まるのではないか、という発想から開発が始まりました。
開発の背景には、多忙な共働き家庭が増えたり、シャワーだけで済ませる方が増えたり、浴槽の掃除からお湯をためるといった入浴準備まで、平日は毎日行うのが難しいという状況が調査結果からわかってきたことがあります。
でも、本当はお風呂で温まりたいと思っている方もいて、様々な理由で我慢しているようなところも見受けられたので、手軽に浴びられて、全身きちんと温まることができるシャワーが解決の手段になるのではないかと考えました。
—— お風呂へのこだわりは男性が強そうですし、購入決定権も男性が持っているイメージがあります。
コロナ禍以降、おうち時間が増えて、お風呂によりこだわる方が増えていると思います。
確かにこれまでは決定権が男性にあることが多かったのですが、最近では女性の方も多い印象です。女性・男性、年齢、体格問わず、いろんな人に幅広くフィットするような形で設計開発をしている商品ですので、どんな方にもおすすめです。
男性で冷えを気にされる方もいらっしゃいますが、女性はとくに冷え症の方が多かったり、普段は大丈夫でも生理中は冷えが気になる方もいらっしゃると思います。そういった方に、シャワーでも手軽に温まっていただけるということをおすすめしています。
5分間でどれだけ気持ちよく浴びられるか。お湯に包み込まれるような“浴び心地の良さ”を追求。
—— 「ボディハグシャワー」の設計のこだわりについて教えてください。
シャワーだけで体全体が温まることも重要なのですが、どれだけ気持ちよく浴びられるか、お湯に包み込まれるような“浴び心地の良さ”も追求しました。
とくに、ノズルとアームは何度も試作を重ねました。ノズルにいたっては200種類以上を試作して、シャワーの吐水の幅や出方、流量、水粒の大きさなど、いろんな工夫と調整をしました。配置についても、アームのどの位置に配置すると体のどの位置に当たるかなど、何回もシミュレーションをし、実際の入浴評価を繰り返しています。
女性は皮膚が薄い方が多いのか、肌当たりが強すぎると刺激になって痛いからとマイナス評価になってしまう一方で、男性は刺激を求められる方も多く、また年代によって感じ方に差があることから、多くの方々に浴びていただき、皆さんが心地よく浴びられるようなお湯の出方、流量などを工夫して、今に至っています。
あとは、デザインとの兼ね合いも難しかったです。どんなに機能が良くても、存在感が大きすぎて浴室空間のノイズになってしまわないように、また、今お使いのお風呂に後付けしやすいように、一般的なサイズ・レイアウトの浴室に収まる大きさでなければ商品として成り立たない。さまざまな与件をクリアするために、試行錯誤を重ね、完成まで4年以上もかかってしまいました。
—— 鏡を挟むように両側に収納されているのがシャワーアームですね。実際にはどのように使うのでしょうか。
シャワーのアーム部分は左右が分離して動き、体を包みこむようにハの字に倒れるように開きながら、好きな高さや角度に調整することができます。アームの先端が回転するので、外形はコンパクトながら身長や体格の違いにも対応し、多くの方が好みの位置で浴びられるように設計しています。
ノズルは左右のアームに5個ずつ、計10個から吐水します。ノズルの吐水口の形も浴び心地にこだわり、丸型と星型の2種類を採用しました。
上部と下部のノズルが星型です。吐水が大粒で、ノズルの向きが動かせるので、首と肩まわり、足元を温めることができます。真ん中のノズルは丸型で、やわらかい霧状の吐水が胴まわりをはじめ広範囲をやさしく包み込むように当たります。体を包み込むように開くアームと形の違う吐水口ノズルにより、理想的な温まりと浴び心地が生まれました。
—— 開発に要した期間は4年以上。しかもノズルの試作だけで200種類以上。こだわり抜いたボディハグシャワーで、小栗さんがもっともおすすめしたいポイントは。
言葉で表現するのは難しいのですが、浴び心地が良くて、気持ちがいいんです。温まるだけではなく、浴びている瞬間「ふーーーっ」という解放感。湯船につかっている解放感とはまた違った心地良さがあります。
浴びている時間は、お肌のお手入れやマッサージなどのセルフケアをしていただくのもおすすめですが、私の場合は、何もしない、何も考えずにボーッとただ湯浴びをしている、その解放感が好きです。
役割から離れて、自分自身に戻れる場所。そして体も心も温まる場所になれたら。
——温浴感や浴び心地は、実際にボディハグシャワーを体感してみないと実感しにくいですよね。どのように説明されているのでしょうか。
ビジネスユーザーの方々に商品説明会を実施してはいるのですが、やはり商品の良さは実際に体感していただくのが伝わりやすいと思いながらも、なかなか気軽に体験できる場所が用意できていないのが実情です。
ホテルなどにも納材していますので、ご使用いただける場所をご紹介して、実際に使っていただいたりもしていました。あとは、工場に体験実機を入れていますので、ビジネスやプロユーザーの方に体感していただいて、自分の体験をお客さまに伝えていただく感じで用意はしています。
商品カタログやサイトにもその効果感、実際に使われた方のお声、専門家の方のインタビューなども掲載していますので、そういったものを見ていただけたらいいかなと思っています。
「夜遅くに帰宅して、浴槽の掃除をしてからお湯を張るのはなかなか大変だけれども、ボディハグシャワーで温まれるからいい」、車いすの方からも「座ったまま浴びられるのがいい」というお声をいただいています。時間がない方、湯船にお湯を張って入浴するのが難しいような方、女性だと生理中は湯船に入らないという方もいらっしゃるので、そういう時に手軽にシャワーで温まることができる商品であることをご紹介しています。
—— 日々忙しく働く女性たちにとって、ボディハグシャワーはどんな存在になってほしいですか。
私にとってのボディハグシャワーは「役割から離れて、自分自身に戻れる場所」のような存在です。
ボディハグシャワーは、ライフステージに合わせた入浴ができます。産後ケアなどに詳しい方からは、出産後は湯船に浸かれない時期もあるので、そういった時期にもおすすめと言っていただいています。あとは使われる方の人生の長い期間、使っていただける商品になっていると思います。
日々忙しく働く女性の方々にとって、ボディハグシャワーがある空間が、自分自身に戻れる場所、解放できる場所、そして体も心も温まる場所になってもらえたらうれしいですね。
【Company Data】
LIXILは、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいを実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。ものづくりの伝統を礎に、INAX、TOSTEM、GROHE、American Standard、をはじめとする数々の製品ブランドを通して、世界をリードする技術やイノベーションで、人びとのより良い暮らしに貢献しています。現在約55,000人の従業員を擁し、世界150ヵ国以上で事業を展開するLIXILは、生活者の視点に立った製品を提供することで、毎日世界で10億人以上の人びとの暮らしを支えています。
【関連プレスリリース情報】
■ 30代で「湯船に浸かりたくても浸かれない」が4割超え。“お風呂”から見えてくる現代女性の悩み
https://femtechpress.jp/16947/
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