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【フェムテックプレス編集部】
パパもママも、そして誰もが働きやすい職場って?
パパたちと考える「育休」 座談会開催レポート

フェムテックプレス編集部

2023.03.24 16:00

3月1日より、来年春に卒業する大学生らを対象とした企業の採用説明会が解禁され、就職活動が本格的に始まりました。
厚生労働省 雇用環境・均等局で発足した「イクメンプロジェクト」によると、育児休業取得に関する調査では、令和になってからの新入社員の男性の8割が「育休を取りたい」と回答し、そして女子学生の9割が「夫には育休を取得してほしい」と回答していることがわかりました。

SDGsのゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」も含め、今、女性活躍推進などを考える上で男性の「育休」はとても身近な話題となっています。
フェムテックプレスでは、この4月からの『育児休業制度』改正にともない、男性育休を推奨・取り組む企業を取り上げます。

育児休業制度は、2022年4月、10月と段階的に施行が変わり、今年4月から従業員が1,000人を超える企業に対して、男性の育児休業取得率等の公表が義務づけられます。

昨年10月の法改正にともない、横浜の広告デザイン会社アイムでは、フェムテック・フェムケア専門のクリエイティブチーム『femoop(フェムープ)』主催による、『パパもママも、そして誰もが働きやすい職場って?パパたちと考える「育休」』をテーマに、座談会が開催されました。
出席者は全員、お子さんのいらっしゃる「パパ」たちです。
座談会が開催された背景や、当日の様子などをご紹介します。

【座談会メンバー紹介】
■司会進行
(左から2番目)40代デザイナー 2児のパパ
■ゲストパパ
(左から)
30代デザイナー 2児のパパ
30代デザイナー 1児のパパ
30代デザイナー 2児の育休取得パパ

【INDEX】
●そもそも、なぜ「パパ育休座談会」を行うことになったのか。
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●トークテーマ01 わからないからモヤモヤ・・・「そもそも、育児休業制度って?」
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●トークテーマ02 不安でモヤモヤ・・・ひとりじゃない!「その仕事、ちゃんとまわります」
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●トークテーマ03 見えなくてモヤモヤ・・・やっぱり心強い!「パパの育児、こんなに求められています」
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●座談会のまとめ
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●参考資料「男性の育休について」社内アンケート調査結果

そもそも、なぜ「パパ育休座談会」を行うことになったのか。

2022年の4月と10月に、育児休業制度が段階的に変わり、父親である男性が、これまで以上に柔軟に、育休を取得できるようになりました。6月には、社内の男性デザイナーによる初の育休取得という新しい風が吹き、「男性の育休」がより身近になるトピックがありました。
(2023年3月から、新たに男性社員1名がパパ育休を取得)

この追い風が吹いているタイミングで、変更した就業規則の周知や育休取得をしたパパさんスタッフに話を聞くことにより、『誰もが、働きやすい職場について考える』よいきっかけづくりになると考え、座談会が開催されました。

座談会でのゴール目標

トークテーマ01
わからないからモヤモヤ・・・「そもそも、育児休業制度って?」

事前に行われた社内アンケートの発表から座談会はスタート。「男性が育休を取得することについて賛成か反対か」という設問に対して、アンケートに回答した全員が「取得を希望している」ことがわかりました。男性が育児休業を取りやすい環境をつくるために必要なことは。まずは、育児休業制度について「理解」することから始まりました。

パパ育休座談会資料より

最初に『産前産後休業・育児休業制度』について説明がありました。70%以上が女性スタッフという同社。じつは男性だけではなく、女性が取得する『産前産後休業』について、当の女性たちもきちんと理解している人が少なかったそうです。「子育てはパートナーとの二人三脚。育児休業制度と産前産後休業制度を同じ時間軸で説明することで、より理解が深まる」と、説明がありました。

パパ育休座談会資料より

続いて「出生時育児休業(産後パパ育休)」の変更ポイントを解説。取得開始日をずらすことで育休を交代できる回数が増えたり、開始時期を柔軟にすることで途中交代ができたりと、どちらかが我慢することなく、子育てしやすい環境を整えやすくなったことがわかりました。

パパ育休座談会資料より

パパ育休を取得した男性スタッフは、「育休中、どのくらい給与額が変わるのか心配でした。事前に会社に相談した時に、色々と考慮してもらえて心強かったです。また、手続きなどわからないことも多く不安でした。申請に必要な書類については、こちらの準備期間を配慮したタイミングで連絡をもらえたため、送り忘れることもなく、とてもありがたかったです」と、会社の手厚いサポートに助けられたことを話してくれました。

このトークテーマの結論は、「わかったら早めに会社へ」。

トークテーマ02
不安でモヤモヤ・・・ひとりじゃない!「その仕事、ちゃんとまわります」

横浜・東京オフィスのスタッフに向けZoomで生配信

ユニセフの報告書『先進国の子育て支援の現状』(2021年6月発表)にて、保育政策や育児休業政策を評価・順位づけをした結果、日本は育休制度では1位。父親に認められている育児休業の期間が最も長いことが評価されています。
一方、厚生労働省の調査で、2021年の男性の育休の取得率は13.97%。調査を開始してから最も高い数字だそうです。ちなみに、政府は男性の育休の取得率を2025年までに30%とする目標を掲げています。

なぜ、日本では育休を取得するための環境は整っているのに、なぜ育休取得に踏み出せないのか。この疑問について、それぞれの考えを話し合いました。

社内アンケート調査「男性の育休の取得率が低い理由は何だと思いますか?(男女別)複数回答可」の結果をみると
・迷惑をかけると思った
・取りやすい雰囲気がない
・制度や体制が十分ではない
・前例がない

という回答が選ばれていました。
とくに
・迷惑をかけると思った
・取りやすい雰囲気がない
以上の2点は、他の企業でも育休制度導入に当たっての懸念事項になっているようです。
参加したパパからも「会社やお客様に迷惑をかけてしまうのが心配という理由から、育休取得に二の足を踏んでしまう」という声が挙がりました。

取得前に心配していた仕事ですが、実際は取得期間中も変わらず順調だったそうです。
その理由は「チーム連携」にありました。常にチーム内で仕事内容を共有し、案件をある程度把握していたため、取得前はチームスタッフに引き継ぎ用の資料を共有し、申し送りを行った程度と教えてくれました。まさに「日ごろからのチームプレー」が活きた成功例と言えます。

このトークテーマの結論は、「一人でまわさず、チーム内で共有を」。

トークテーマ03
見えなくてモヤモヤ・・・やっぱり心強い!「パパの育児、こんなに求められています」

「もしこれからお子さんが生まれるとしたら、男性はご自身、女性はパートナーの方の育休の取得についてどう思いますか?」という設問で、女性回答をみたところ「パートナーに取得してもらいたい」と全員が回答していました。

女性の「子どもができたら協力してほしい」というアンケート結果に対して、パパたちに当時を振り返ってもらいました。

参加したパパ全員から、「積極的に子育てに参加できていない」と反省の言葉がでてきました。
なかには「子どものことは私が頑張るから、パパはお仕事頑張って!」と言ってくれた奥さまの言葉に甘えてしまったエピソードや「本当にそばにいてほしい時に、そばにいてあげられなかった」と、当時を振り返り、後悔していることを語るパパも。

話が変わり、育休取得パパの1日について話が進むと、「子育てと家事に1日の時間をほぼ費やし、自分の時間はほとんどありませんでした」という話に、一同驚くばかり。ワンオペにしてしまった当時を振り返り、また反省していました。

そもそも「なぜ育休を取得しようと考えたのか」という質問に対して、「妻の希望と自分の希望でした」と答えた育休取得パパ。
「1人目を出産後、妻の産後の戻りがあまり良くないなか、仕事が忙しく、献身的なサポートができなかった反省がありました。2人目ができた時は、夫婦で話し合い、会社の先輩パパ(参加者)に相談をしたところ、その先輩パパも自分ができなかったことを後悔していることを話してくれました。絶対にサポートしてあげるべきとアドバイスをもらい、友人にも相談をして、育休を取得することを決めました。育児に理解のある上司の後押しも心強かったです」と、取得を悩んでいた当時の気持ちを語ってくれました。

最後に、育休取得パパの奥さまに内緒でお願いしたお手紙を読み上げると、感謝の気持ちがつづられており、座談会は感動に包まれ、無事に終了しました。

このトークテーマの結論は、奥さまの言葉を借りて「人生一度きり。まわりに協力をお願いしながら、前向きに取得すべき」。

座談会のまとめ

座談会に参加したパパたちのお子さんが生まれた十数年から数年前までは、「子育ては妻に任せて、子どものためにもっと働かないと」、「実家のご両親に手伝ってもらえば」、「男性が育休取得なんて」と言われたりしてしまう、無意識の思い込みや偏見があった時代でした。

育休を取りたい人が、当たり前に取ることができる会社とは。
アンケートのフリー回答には、「会社に育休する余裕を持たせること(目標以上の売上があり、取得者のポジションを支える人が複数いること)」、「産後のパートナーやお子さんの様子も見つつ働きたいという希望次第で、一定期間の働き方を柔軟に変えていけると、より選択の幅が広がる」という意見がありました。

「男性育休」という、これからの当たり前になるであろうものが、どうすれば社内に抵抗なく浸透、また正しく理解してもらえるのか。その時代に合わせたアイデアをこれからも検討し、取り入れていく必要があります。

参考資料「男性の育休について」社内アンケート調査結果

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