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【フェムテックプレス編集部】
「アライ」とは?ダイバーシティ実現に向けてできること

フェムテックプレス編集部

2023.05.19 16:00

本日より開幕した「G7広島サミット」。開幕前には、与党内でLGBTQ+(性的少数者)への理解増進を目的とする「LGBT理解増進法」の成立を目指す動きが急展開をみせるなど、注目を集めていました。
また最近、SNSのプロフィール等で自身が「アライ」であることを名乗る人が増えてきました。
本記事では、「アライ」の意味や関連用語である「LGBTQ」、「ダイバーシティ&インクルージョン」について解説します。

アライの意味

「アライ」とは、「同盟、味方」を意味する英語「Ally」をもとにした言葉で、LGBTなどいわゆる性的マイノリティを支援している人たちのことをいいます。
基本的には、自分はLGBT当事者ではないが、性的マイノリティの人々に共感し、応援する立場であることを表明する意味で使われます。

今後、ダイバーシティへの理解が進むに伴い、「アライ」は当事者間でも使用したり、他のマイノリティに対して使用したりするなど、適用範囲が拡大されていくと考えられます。

「アライ」には具体的な支援活動を行う人だけでなく、性的マイノリティに理解を示し、当事者と関わる際には「彼らが自分らしくいられるように接しよう」という意思を持っている人も含まれます。

もちろん、「アライ」を名乗ることに資格は必要ありません。自分とは異なる立場にある人たちを尊重し、異なる価値観を受け入れる姿勢があれば誰でも表明することができますし、表明せずとも「アライ」であることもできます。

「アライ」が増えることは、その分だけ社会が多様性を受け入れるキャパシティが広がるということです。「アライ」になることは、ダイバーシティ実現に向け一人一人が今すぐにできる取り組みだといえます。

LGBTとは

「LGBT」とは、性的マイノリティの人たちの総称として使われている言葉で、次の意味を持ちます。

L:レズビアン(Lesbian)=女性の同性愛者
G:ゲイ(Gay)=男性の同性愛者
B:バイセクシャル(Bisexual)=両性愛者
T:トランスジェンダー(Transgender)=体の性と心の性が異なる人

ただし、すべての性的マイノリティがLGBTに分類されるわけではないため、これに「Q」と「+」を加え、より範囲を拡大した「LGBTQ+」が使われる場合もあります。「Q」は下記の意味で、「+」はほかにも性の有り様があることを示しています。

Q:クエスチョニング(Questioning)/クィア(Queer)=性別がはっきりしていない、決めていない人

日本におけるLGBTQ+の割合は、様々な調査により人口の約1割を占めると言われています。例えば「大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート」では、「ゲイ・レズビアン」「バイセクシュアル」「アセクシュアル(誰に対しても性愛感情を抱かない)」「決めたくない・決めていない」「トランスジェンダー」の合計が8.2%でした。

「答えたくない」「自覚がない」人もいると考えられるため、実際の割合はもう少し多いかもしれません。いずれにせよ、その数は決して少なくないことが分かるかと思います。

LGBTQ+の人たちが抱える困難

LGBTQ+の人たちは、下記のような特有の困難を抱えています。これらの多くは偏見や差別、あるいは無知が根底にあり、その解決のためには権利保障や差別禁止に関する法制度等の整備が求められるとともに、多様な性の在り方を認め、理解する一人一人の意識を醸成すること、つまり「アライ」を増やすことが不可欠であるといえます。

・学校で「男のくせに」「気持ち悪い」「ホモ」「おかま」「レズ」などと侮蔑的な言葉を投げかけられ、自尊感情が深く傷つけられた。
・他の人に身体を見られる心配や、他の人の身体が目に入る罪悪感から、学校の更衣室やトイレが使いづらかった。
・ゲイであることを親に告白したところ、親から「ゲイの息子なんていらない」「お前なんか死んだほうがましだ」「いやらしい!きもちわるい」と言われた。
・就職活動の際、結婚などの話題から性的指向や性自認をカミングアウトしたところ、面接を打ち切られた。
・内定は出すけれど、入社時に全社にカミングアウトをすることが採用の条件だと言われた。
・パートナーとの死別に際して、パートナーの家族から喪主になることやお骨の引き渡しを拒否された。
・救急車を呼んだ時に性同一性障害であることを理由に「どう対応したらいいかわからない」と言われ、搬送されるまでに時間がかかってしまった。
・公的な書類に不用意に記載された性別欄と外見の性別が異なるため、本人確認ができないという理由で必要な行政サービスや民間サービスが受けられなかった。

引用:LGBT法連合会「性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト 第3版」

アライを宣言する企業・団体も増加

「アライ」であることは、個人だけでなく企業・団体にとっても重要です。

実際に「アライ」であることを名乗ったり、同様の意味で「LGBTQフレンドリー」を掲げたりする企業・団体も増えてきました。例えば埼玉県では「埼玉県アライチャレンジ企業登録制度」を設け、県内企業の取組状況を可視化し、LGBTQ+が働きやすい職場づくりの促進を図っています。

LGBTQ+に配慮したサービスとしては、スマホの通信料金に適用される「家族割」が同性パートナーを対象に含めたり、生命保険の保険金の受取人に同性パートナーを指定可能にするなどの取り組みが進められています。

こうした取り組みの背景には、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」の考え方があります。

多様性を意味する「ダイバーシティ」は、人種や性別、年齢、障害の有無といった属性にかかわらず、それぞれの違いが尊重されている状態を指します。
一方、包摂を意味する「インクルージョン」とは、そうした多様な人たちがそれぞれ活躍できる場を持っている状態を指します。

D&Iを推進することで、多様な価値観を取り入れることによる組織の活性化・イノベーションや、労働人口減少・人材不足への対応、労働環境・働き方の改善、グローバル化への対応などにつながることが期待されています。

ダイバーシティ&インクルージョンの取り組み

D&Iの取り組みとしては、「女性の活躍推進」「高齢者の活躍推進」「障害者の雇用促進」「外国人材の受け入れ」「働き方改革」などが挙げられ、「LGBTQ+への理解促進」もその一つに位置づけられます。

D&Iの考えに基づく企業経営は「ダイバーシティ経営」と呼ばれ、経済産業省により推進されています(経済産業省「ダイバーシティ経営の推進」より)。

また、SDGsとの関連でいえば、ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」、ゴール10「人や国の不平等をなくそう」、ゴール16「平和と公正をすべての人に」との関わりが深いといえます。

SDGsへの取り組みを進める企業・団体にとっても、「アライ」あるいはD&Iの考え方を取り入れることは有効だといえます。

まとめ

「アライ」は、LGBTQ+の支援者であり、誰もがなれるものです。

企業・団体ではダイバーシティ&インクルージョンの一環として取り組みが進められています。

差別のない世界を実現するため、LGBTQ+の人たちが抱える困難を知り、一人一人が多様な性の在り方を認める柔軟な考え方を身につけることが大切です。

転載・加筆:SDGs情報発信メディア「Sus&Us-サスアス-」

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