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更年期前後の女性を悩ます「原因不明の心臓の痛み」。その正体とは?
一般社団法人みんなのフードポリシー
2024.01.29 18:27
「ときどき心臓のあたりが、ギュッとつかまれたように痛くなるけど、少し我慢していると治るし、病院の検査で異常は見つからなかったのでそのまま放置している」
…そんな方は意外と多いのではないでしょうか。
その心臓の痛みは、もしかすると「微小血管狭心症」かもしれません。もしそうだとしたら、放っておくのは良い対処法とは言えません。より深刻な心臓病につながる恐れがありますし(*1)、他の病気を引き起こす可能性もあるようです。
微小血管狭心症とは?
心臓の血管というと、心臓に巻き付くように存在する太い冠動脈が思い浮かびますが、実はそれだけではなく、心臓の筋肉の中に入っていく無数の細い血管があります。その中で直径が0.1ミリ以下の小さい血管を微小血管といいます。
女性を悩ます原因不明の心臓の痛みの正体とは、この小さい血管の狭心症、「微小血管狭心症」なのです。
微小血管の血流が滞って心臓に酸素が行き渡らないために、心臓や背中の痛みをはじめ、顎や喉呼吸困難感、吐き気、胃痛などの消化器症状、顎やのど、耳の後部などへの放散痛、動悸などさまざまな症状を引き起こす病気です。
ある調査(*2)からの推測値では、更年期前後の女性の10人に1人くらいが罹っているとも言われています。
発見が遅れる2つの理由
本人が放置しがちということだけではなく、微小血管狭心症は医療機関でも見落とされがち。その主な理由は2つあります。
一般的な心臓の検査は大きい冠動脈に対してのみ行われます。微小血管の障害は、血管自体が小さすぎることと、血流が滞る原因が血管の詰まりではなく痙攣によるものであることによって、造影検査では検出できず、心電図でもほとんど変化を確認できないのです。
また、この病気が知られるようになったのは最近で、そもそも医師でも知らない人が多いという現状があります。医師が知らなければ病院でも詳しい検査は行われず、「どこにも異常はありません」という結果で終わってしまいます。
更年期前後の女性に多いのはどうして?
その理由にはエストロゲンという女性ホルモンが関わっているのではないかと言われています。
女性の体は、妊娠や出産に備えるために女性ホルモンに守られており、心血管を保護するのも女性ホルモンの大事な作用の1つです。ただ残念ながら閉経が近くなるとホルモンバランスが乱れ、閉経後は減ってしまうため、その恩恵を受けられなくなり心疾患が増えるようです。
更年期障害に対する、医療や社会的なバックアップが遅れている!?
更年期前後の女性といえば、職業人なら、経験を積み重要なポストや役割を担う人が増える年代です。また家庭では、独立していない子どもがいて、さらに親の介護もあるという立場の人も少なくないと思います。とにかく忙しい年代でもあり、社会的にもこの年代の女性たちへの期待は大きいはずです。
それにもかかわらず、更年期障害に対する理解や配慮は、まだまだ遅れていると言わざるをえません。
医療従事者へのアンケート調査では、更年期障害のさまざまな症状は複雑で対処が難しいとして、約4割もの医師が、「治療の自信がない」(*3)と答えているそうです。
そんな中、私たち女性は、自分のからだのケアを後回しにせず、不調があれば早めに対策をとり、悪化させないよう自分自身で気をつける必要がありそうです。
もしかして私も?と思ったら…
微小血管狭心症も、放っておくと良くない病気の1つ。「もしかして私も?」と思ったら、病院で診察を受けましょう。
…とは言っても既に書いたように、微小血管狭心症は、どこの病院でも診断できるほど知られた病気ではありません。もし、近くに診察できる病院がない場合、日本冠微小循環障害研究会(J-CMD)(*4)のウェブサイトに掲載されている「CMD検査実施施設」のリストが参考になります。
こちらのサイトには、一般社団法人日本循環器学会がガイドラインで推奨する検査方法も詳しく解説されています。
【CMD検査実施施設(微小血管狭心症の検査が行える医療機関)】
【冠微小循環障害の検査法】
今年1月、微小血管狭心症の治療体験記を出版しました
私(一般社団法人みんなのフードポリシー代表理事 井澤裕子)は、尼崎市のよしだ循環器内科クリニック独自のストレイン心臓エコー検査によって、微小血管狭心症と診断され、漢方薬や遠赤外線を使った体質改善により症状が改善しました。
処方された漢方薬の種類と効能や、検査によって得られたデータなど、詳細な記録を載せた治療体験記を出版しましたので、ぜひご参考にしてください。
【Amazon販売ページ】
・電子書籍:680円
・ペーパーバック:1980円(税込)
(*1)参考:日本冠微小循環障害研究会のウェブサイトの「代表世話人のご挨拶」より
「微小血管狭心症患者には…年率7.7%の重大な心血管事故が発生している」「長期予後には…性差や人種差もなく、重要な病態である」
https://site2.convention.co.jp/j-cmd/greeting/index.html
(*2)循環器を専門とする性差医療研究・実践の第一人者、天野 惠子 医師(静風荘病院)による胸痛に関するアンケート調査(1999年)
(*3)NHKみんなでプラス
https://www.nhk.or.jp/minplus/0029/topic070.html
(*4)日本冠微小循環障害研究会(J-CMD):微小血管狭心症(MVA)を含む冠微小循環障害の研究と、医学界・一般社会の認識向上を目的とし、全国規模の登録研究・活発な学術活動を行う研究会。全国28大学・病院が参加している。代表世話人は国際医療福祉大学副大学院長の下川 宏明氏
いさわゆうこ(井澤裕子)プロフィール:
一般社団法人みんなのフードポリシー代表理事。食品保健指導士。グラフィックデザイナー/ライター。1988年米国カリフィルニア州California College of Arts グラフィックデザイン科卒業。デザイン業のかたわら立ち上げたイタリア直輸入オリーブオイルのEC事業(2005年~2014年)を行うなかで、食品の栄養や機能性に目覚め、食品保健指導士の資格を取得。以降、食品関連企業を中心にデザインやプロモーション企画の仕事に携わる。2024年1月、自身の治療体験記「原因不明の心臓の痛みは、微小血管狭心症でした!」をAmazonから発売。神戸市在住。
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