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【特集インタビュー 小林製薬株式会社様】女性のQOLを守る防災へ。
デリケートゾーンケアから考える、企業・自治体ができる「フェムケア備蓄」<03>

フェムテックプレス編集部

2025.09.18 10:00

ビジネスにアイデアをひとさじプラス——。
「フェムテックプレス」では、掲載プレスリリースをきっかけに、業界の注目キーワードを深掘り。企業担当者へのインタビューを通して、フェムテック・フェムケアの現場を紐解いていきます。

Vol.18のキーワードは「フェムケア視点の防災対策」。

【03】“自分のからだ”に合った備えが、いちばんの安心になる。
小林製薬と考える「フェムケア視点の災害時のセルフケア」。

もしもの時、女性のからだはどう守られる?
そんな疑問から見えてきた、「フェムケア視点の災害時のセルフケア」を小林製薬とともに考えます。
内閣府の防災ガイドラインに明記されていながら、備蓄率はわずか7.9%にとどまる「おりものシート」。なぜ今、重要視されるのでしょうか。
過去の災害時に寄せられた看護師さんの切実な声、生理用ナプキンだけでは不十分と言われる理由、そして、女性のからだの構造や避難所での環境から生じるリスクに焦点を当てながら、女性のQOLを守るために、いま見直すべき“防災の新常識”を紐解きます。

【Profile】
小林製薬株式会社
(左から)広報担当 黒岩さん 古川さん
フェムケアプロジェクト 白石さん
サラサーティ ブランドマネージャー 山下さん

【INDEX】

01 “声なき声”に耳を澄まし、“あったらいいな”をカタチに。小林製薬が大切にしてきたもの。


02 正しく知ることが、最初のケアになる。成長のサインである「おりもの」を、親子や学校でどう伝える?


03 “自分のからだ”に合った備えが、いちばんの安心になる。小林製薬と考える「フェムケア視点の災害時のセルフケア」。


04 女性の人生に、もっと寄り添うために。ブランドの垣根を超えて生まれた「フェムケアプロジェクト」。


—— 内閣府の防災ガイドラインにも「おりものシート」の記載がありますが、サラサーティブランドとして「防災グッズに必要」とされる理由をどのようにお考えですか。

山下さん:
地震などの災害時には、水道・電気・ガスといったライフラインが止まり、洗濯ができない状況が発生します。
そんな非常時でも、デリケートゾーンを清潔に保つために役立つのが、おりものシートだと私たちは考えています。毎日下着を交換できない状況下でも、下着の上にシートを装着することで、不快感を軽減しながら衛生を保つことができます。

過去の災害時では、発災直後に支援物資としてサラサーティも検討しましたが、物流が不安定だったり社内の支援ルートが十分に確立されていなかったことから、すぐには支援がかないませんでした。

しかし、まだ水道が復旧していない地域の看護師の方から「おりものシートが支援物資リストに入っておらず、デリケートゾーンの衛生を保つことができなくて困っている。おりものシートの支給をお願いしたい」というお声があり、ある女性支援団体経由でご相談をいただき、おりものシートの支援を進めることとしました。

—— お困りごとを見過ごせない、解決したい御社としては、もどかしい思いだったのではないでしょうか。

山下さん:
私自身も、小学生の時に阪神淡路大震災を経験しましたが、当時はまだ幼く、衛生の重要性を実感するには至りませんでした。
しかし被災地から届いたリアルな声に触れ、「早く動かなければ」「何かお役に立てることを」と、強く感じています。

改めて令和5年度時点のデータを見ると、自治体の備蓄率は生理用ナプキンが85.2%※3に対し、おりものシートはわずか7.9%という低さでした。この数字を見て、おりものシート専門のブランドである私たちの啓発不足、力不足を痛感しています。

その後、看護師さんとオンラインでお話する機会があり、「自治体には男性職員が多く、おりものシートの必要性が伝わりにくい」という現場の実情も伺いました。「大手の企業が動いてくれることは、本当に力強いです」と言っていただけたことは、私たちにとっても大きな励みになっています。

さらに心を打たれたのは、その看護師さんがおりものシートを渡す際に、おりものシートの重要性やおりものの大切さを伝える手紙を一緒に添えてくださったこと。その行動に、かえって私たちの方が背中を押された気がしました。

—— 「生理用ナプキンがあれば十分」と考えるのは、男性だけでなく女性の中にもいらっしゃるのではないでしょうか。

山下さん:
「生理用ナプキンがあれば安心」と考える方も多いかもしれませんが、ナプキンは生理時の使用を想定したアイテムです。
そのため、長時間連続で使用すると通気性の面で負担がかかり、使用状況によっては、かぶれなどの肌トラブルを引き起こす可能性があります。

実際、生理の貧困が課題となる中、ナプキンの枚数を節約して使用せざるを得なかった結果、かぶれや衛生上のトラブルが増えたという声もあり、内閣府の調査でもこうした実態が報告されています※4。

また、女性のからだは男性に比べて尿道が短く、腟や肛門が近いため、菌の侵入リスクが高く、細菌性腟症や膀胱炎、腎盂腎炎などの疾患にもつながりやすい傾向があります。
さらに、被災地ではトイレ環境が整っていないケースや、性被害などへの不安から夜間のトイレ利用に不安を感じる方がいるという声も聞かれます。その結果、排尿を我慢することで感染症のリスクが高まることもあるのです。

こうしたリスクの備えになればという想いから、啓発活動に使用している「おりものブック」にも、防災における活用法を明記し、必要性を伝えてきました。
改めてこの“7.9%”という備蓄率の低水準を、一刻も早く生理用ナプキンの“85.2%”に追いつけるように、社内外で声を上げているところです。

※3地方公共団体における男女共同参画の視点からの防災・復興に係る取組状況について
フォローアップ調査結果(令和6年6月 内閣府男女共同参画局)
https://www.gender.go.jp/policy/saigai/fukkou/pdf/chousa/r5_zentaigauyou.pdf

※4『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査(令和4年3月 厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000917682.pdf

—— 避難生活を想定した備えとして、サラサーティブランドならではのおすすめポイントや、選ぶ時に意識したい点はありますか。

白石さん:
サラサーティのおりものシートは、現在11種類のラインナップがあり、それぞれのニーズに合わせた使い分けが可能です。
その中でも、防災時の備えとして特におすすめしたいのは、次の3つのアイテムです。

「サラサーティコットン100 2枚重ね」ポーチを持ち歩かなくても、シートを1枚めくるだけで新しい面が使えるため、手軽に清潔を保てます。非常時の衛生管理にも適した設計です。

「サラサーティコットン100ワイド&ロング」大きめサイズの安心タイプ。生理前後の不安な時期には、一般的な生理用ナプキンよりも通気性に優れたおりものシートを使うことで、肌への負担を軽減できます。

「サラサーティコットン100 ワイド&ロング 吸水プラス」軽い尿もれにも対応できる吸水タイプ。高齢の方が多く滞在する避難所などでも使いやすく、安心してお使いいただける仕様です。

—— 防災とフェムケア、両方の視点から見て、「あると安心だと思われる」アイテムがあれば、あわせてご紹介いただけますか。

黒岩さん:
そうですね。まず、「災害」と一言で言っても、発災直後の緊急期や数週間後の応急期など様々なフェーズがあり、それらの時間の経過とともにお困りごとも変わってくるものと認識しています。
水や電気などの生活インフラが復旧した後でも、避難所での生活や在宅避難が長く続いたりすることは大きなストレスとなります。そうした生活では、様々な身体トラブルも起こりえると思っています。

白石さん:
災害時の生活では、ストレスや不衛生な環境が重なり、膀胱の炎症等のトラブルが起きやすくなるのではないでしょうか。
初期症状に気づいた時の備えとしては、「ボーコレン(第2類医薬品)※1」がおすすめです。特に繰り返しやすい方や40代以降の方には、「ボーコレンエージ+猪苓湯合四物湯錠(第2類医薬品)※2」も適しています。

また、気温の低い季節における災害時の生活では、身体の冷えが辛い女性もいると思います。そんな時には、「命の母カイロ」などのカイロ類や、9月発売予定の「血流改善 就寝ホットン(一般医療機器)※3」も役立つと思います。

さらに衛生面では、洗えない状況が続くとデリケートゾーンにかゆみが出ることもあります。その場合は、手を使わずに使えるデリケートゾーンのかゆみ・かぶれの治療薬「フェミニーナミスト」が便利です。
乾燥対策には「フェミニーナ モイスキープ」(デリケートゾーン用化粧水)もおすすめ。水分バリア処方で、こすれからもやさしく守ります。

顔や体を洗えない時には、「オードムーゲ 薬用ふきとり美容シート」が活躍します。全身に使える設計なので、性別問わず活用できる点も魅力です。

また、不衛生な環境やストレスによって腟内環境が乱れたときにも使える「サラサーティClean(腟洗浄ジェル)※4」も選択肢の一つです。使用後は半日ほどで自然に排出されるため、おりものシートとの併用がおすすめです。

さらに、洗濯が難しい環境では「サラサーティ ランジェリー用洗剤」が便利です。経血やおりものなどのタンパク質汚れに強く、少ない水でもしっかり洗える処方で、避難生活に役立つアイテムの一つです。

—— 黒岩さんにお伺いします。黒岩さんも「サラサーティClean(腟洗浄ジェル)」をおすすめされていましたが、その理由をお聞かせください。

黒岩さん:
男性にとって、女性のデリケートゾーンケアはまだまだ距離のある分野であり、女性のように実感を伴って理解するのは難しいと感じています。
私自身、小林製薬で15年間勤務する中で「サラサーティ」や「フェミニーナ」には馴染みがありましたが、サラサーティブランドから腟洗浄ジェルが登場した時は、正直、衝撃を受けました。

「こういった課題解決のアプローチがあるのか」と、改めて気づかされた出来事でしたし、特に災害時のように洗浄が難しい環境では、このような製品が、お役に立てるのではないかと感じたため、今回ご紹介させていただきました。

—— 白石さんからは、「サラサーティ」の代用品としてのご提案があるそうですね。

白石さん:
被災地では、母乳パッドが手に入らない状況も考えられます。私自身、昨年出産したのですが、夫の実家に帰省した際に母乳パッドを忘れてしまい、すぐに買いに行けず困った経験がありました。

その時、代用として「サラサーティ コットン100」を使用してみたところ、母乳量が少量であれば十分対応できることがわかりました。母乳量が多い場合でも、「サラサーティコットン100 ワイド&ロング 吸水プラス」であれば、ある程度対応できることを確認しています。
もちろん、本来の用途とは異なりますが、被災地など緊急時の代用品として活用いただける可能性があると感じたため、今回お話しをさせていただきました。

—— 災害時の女性たちのQOLを守っていくために、今後のサラサーティブランド、そして小林製薬グループとしての取り組みについて教えてください。

山下さん:
災害時における「おりものシートの備蓄率がわずか7.9%」というデータは、私たちにとって大きな気づきとなりました。
まずはこの事実を社内外に広く伝え、「必要な声」としてしっかり発信していくことが、今まさに求められていると感じています。

ご家庭で防災グッズを備える方が増えている今だからこそ、その中に「おりものシートを忘れずに」という視点を持っていただけるよう、今後も丁寧に啓発を続けていきたいと考えています。

おりものシートは、災害時にもデリケートゾーンを清潔に保つための大切なアイテムです。通気性に優れており、生理用ナプキンに比べてかぶれのリスクが低く、長時間の使用にも適しています。

こうした特性を伝えるとともに、「おりものとは?」「なぜ必要なの?」といった素朴な疑問にも寄り添いながら、おりものシートの重要性を少しずつ広げていけたらと思っています。

古川さん:
当社はこれまでも災害時には被災地に向けた支援活動を行ってきましたが、先ほど山下からもお話しさせていただいたように、実際におりものシートの支援要請をいただき、私たちとしても防災備蓄におけるフェムケアの重要性を改めて強く実感しました。

こうした経験を踏まえ、小林製薬グループは、民間企業と市民団体が連携して被災地支援を行う仕組み「SEMA(シーマ)」に2024年より加盟いたしました。これにより、今後大きな災害が発生した際には、必要な製品を迅速にお届けできる体制を整えることができています。

これは、小林製薬の「見過ごされがちなお困りごとを解決し、人々の可能性を支援する」というパーパスにも深く通じる取り組みです。
被災された方々が抱える見えにくい困難に対して、私たちの製品が少しでも寄り添い、フェムケア製品だけでなく、当社が扱う多彩なカテゴリの製品を通して、被災地の方々の幅広いニーズに応え、“その時本当に必要とされるもの”をお届けできる企業でありたいと思っています。

慣れない環境の中で不安や不便を抱える方々に、少しでも安心や快適さを感じていただけるよう、今後も私たちにできることを一つずつ、丁寧に取り組んでいきます。

—— 「フェムテックプレス」をはじめとする各種メディアが、防災時の備蓄についての情報を発信する重要性についてどのように考えますか。

白石さん:
女性の皆さんは、災害時に限らず日常の中でも、「自分だけこんなことを言ったらわがままかな」と思ってしまう傾向があると感じています。困っていても「努力すればどうにかなる」「私が我慢すればいい」と抱え込んでしまうことが、とても多いのではないでしょうか。

私たちは、そうした声や悩みを拾い上げ、製品というカタチで代弁していくことを使命としています。災害時のお困りごとについても、まずは声をあげていただくことがとても大切です。その声があることで、私たち企業も動きやすくなりますし、「災害時に、女性はこんなことに困っていた」という事実を、社会にきちんと伝えていくことができます。

だからこそ、メディアの皆さんのような存在が“代弁者”となってくださることは、私たちにとっても本当に心強く、ありがたいことだと感じています。正しい認識のもとで、必要な方に適切なものを届ける——そのために、これからも連携していけたらと思っています。

黒岩さん:
企業広報の視点からも、メディアの皆さまの力は本当に大きいと感じています。
先ほど白石がお話ししたように、「なぜこの製品が必要なのか」「こういった製品があると便利ですよね」といった情報は、日ごろから多くの情報を集めていらっしゃるメディアの皆さまだからこそ、的確に伝えていただけるものだと思います。

また、一般の方がまだ知らないような情報や、「実際に被災された方から、こうした製品が必要だったという声があった」といった現場の実情を、広く発信していただくことで、災害が起きる前の段階から備えることの重要性に、気づいてもらえるきっかけにもなります。

そうした情報発信をしていただけることは、私たちにとっても非常にありがたく、心強く感じています。

※1:ボーコレン(第2類医薬品)
効能・効果:体力中等度のものの次の諸症:排尿痛、残尿感、頻尿

※2:ボーコレンエージ+ 猪苓湯合四物湯錠(第2類医薬品)
効能・効果:体力に関わらず使用でき、皮ふが乾燥し、色つやが悪く、胃腸障害のない人で、
排尿異常があり口が渇くものの次の諸症:排尿痛、残尿感、頻尿

※3:血流改善 就寝ホットン(一般医療機器)
販売名:肩腰ホットンb 区分:一般医療機器 医療機器届出番号:28B3X10011000050

※4:サラサーティClean(腟洗浄ジェル)
販売名:小林製薬Clean 区分:管理医療機器 医療機器認証番号:第303ABBZX00041000号

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