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【株式会社TRyAS取材インタビュー】前編:「正解を持たない」からこそ辿り着いた、ユーザーに寄り添うものづくり

株式会社TRyAS

2026.02.26 11:34

今回は、株式会社TRyASが展開する吸水ショーツブランド「PlayS(プレイショーツ)」について、開発・事業責任者の坂上大介氏にお話を伺いました。
坂上氏は、男性でありながら「生理の課題」に向き合い、女性アスリートのための吸水ショーツを形にしてきました。吸水ショーツが今ほど一般的ではなかった6年前、PlaySは「スポーツをする女性のコンディションを支える」という視点からスタートしました。
当事者としての経験がない以上、自分の中に正解は持てない。だからこそ頼れるのは、実際に使った人の声だけ。
前編では、坂上氏がユーザーの声とどう向き合い、プロダクトづくりとブランドの姿勢を築いてきたのかをたどります。

PlayS立ち上げの背景・姿勢について

開発・事業責任者 坂上大介氏

ー立ち上げ当初はさまざまな試行錯誤があったとのことですが、実際に振り返ってみて、当時いちばん難しかったと感じる点はどこでしたか?
(坂上氏)
当たり前ですが、自分に生理がないこと、そしてアパレル経験がなかったことが一番大変でした。ただ結果的には、それが良かったとも思っています。
自分の中に正解がない以上、使った人の声を聞くしかありませんでした。生理は十人十色以上で、千人いれば千人、症状も価値観も違います。もし自分が女性だったら、ボクサータイプだったりカラフルだったり自分の好みに寄ったショーツを作っていたかもしれませんが、それが多くの人に合うとは限りません。こだわれなかったことが、むしろ強みになりました。
また自分で試せない分、知人に協力してもらい、はいた感想を細かく集めて改善を重ねました。途中で「テストできないから難しいぞ」と感じたものの、自分でOKを出せないからこそ、どこまでも人に聞き続けられたと思います。



ー女性の声を聞く際に、特に大切にしている姿勢や考え方があれば教えてください。
(坂上氏)
経験がないからこそ「分かったふりをしない」こと。その姿勢を大切にしてきました。
また、意識しているのは、短絡的に解決しようとしないことです。
話を聞けば「こうすればいいかも」と思う場面もありますが、すぐに結論を出さない。
もし自分が女性だったら、つい「こうしたらいいよ」と言ってしまうかもしれません。
でも、それが相手にとって本当に合っているとは限りません。
だからこそ、わかったふりをせず、まずはその人の話を100%聞くことを大切にしています。


ユーザーの声とものづくりについて

ー これまで多くの女性の声を聞いてこられた中で、商品づくりに特に影響を与えたエピソードはありますか?
(坂上氏)
何か一つの出来事で大きく変わったというより、段階ごとに少しずつ後押しされてきた感覚です。吸水ショーツ自体がまだ珍しかった頃は、他ブランドを試してもらった段階で「画期的」と言われ、試作品でも「他よりすごい」「生理じゃないみたいに過ごせる」といった声が届きました。自分が使えない分、その都度、女性の評価が判断材料になっていました。
中でも大きかったのは、商品が広まるにつれて、アスリートや一般の女性から「毎日はいてます」という声が増えたことです。特に20代の、下着に好みが出そうな年代の人たちが、決して“おしゃれ”ではないショーツを日常的に選んでくれていた。それがきっかけで、毎日使えるモデルを作ろうという流れになりました。

また、女性たちの声を聞く中で、男性の自分が想像していた以上に、おりものや尿漏れなど日常の悩みが多いことも分かってきました。アスリートの場合は腹圧がかかり、サッカーのシュート時に「漏れたかも」と感じることがある、という話もあります。おりものシートの無駄さや、かぶれに悩む声もありました。
自社公式Instagramアカウントで実施したアンケートでは、35%が「毎日はいている」と回答しました。トップ選手レベルのアスリートからも同じ声があり、「女性って本当に大変なんだな」と実感しました。だから今は、吸水ショーツというより、普段使いの下着として「究極の下着」「これ1枚あったら大丈夫」と伝えるほうが近いのかもしれないと感じています。

ー10代・20代の利用者が多いということで、その層から支持される理由は何でしょう?
(坂上氏)
若いと生理が不定期だったりして、いつ来るかまだ安定していない子が多い。だから普段からはいているほうが便利、という面があります。
それと、購入者がお母さんであるケースもあるので、お母さん世代が娘にはかせてあげたいと思ってくれている例。
あとはアスリートがはいていることで、部活生が「私も使ってみようかな」と思ってくれる、ということもあると思います。



ー すべての声をそのまま反映するのではなく、工夫や調整が必要だと感じた場面はありましたか?
(坂上氏)
パンフレットの表紙は大きな学びでした。以前、PlaySのパンフレットを作ったときは、ショーツがドーンと写った商品画像のようなデザインにしていました。事業を一人でやっていた頃に作ったものですが、他社の女性メンバーが加わったタイミングで「これだと机に置いてたら恥ずかしい」という声が出たんです。
そこで一度、表紙をロゴだけのシンプルなものに変更しました。
ただ後から「生理や吸水ショーツが日常でも普通に話せる世界にしたい」と思っているのに「恥ずかしいから隠す」方向に振るのは理念と逆ではないか、と気づきました。
そこから、机の上に置いても違和感がなく、家にポスターとして飾ってもおかしくないデザインを目指すようになり、今の見せ方につながっています。
女性の意見を尊重しながらも、自分がやりたい方向はぶらさずに形を変えていく。
その大切さを実感した出来事でした。

パンフレットの表紙づくりに見えたのは、ユーザーの声を尊重しながら、ブランドとして目指す方向はぶらさないという姿勢だった。
後編では、その姿勢をどう伝え、どう不安を減らし、次の一手につなげていくのかを掘り下げます。

会社概要

株式会社TRyAS
住所:〒105-0014 東京都港区芝2丁目16-9 芝YSビル3F
代表取締役:杉原愛子
事業内容:スポーツ関連事業 / フェムテック・吸水ショーツ事業
HP:https://plays.co.jp/
https://tryas-inc.co.jp

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