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【特集インタビュー JCOM株式会社様】<後編>
「想い」と「共感」が交差する瞬間を、会社という場で──
J:COMフェムテックチーム「Audinary(オーディナリー)」が描く未来。

フェムテックプレス編集部

2025.07.25 16:46

ビジネスにアイデアをひとさじプラス——。
「フェムテックプレス」では、掲載プレスリリースをきっかけに、業界の注目キーワードを深掘り。企業担当者へのインタビューを通して、フェムテック・フェムケアの現場を紐解いていきます。

Vol.16のキーワードは「社員参加型プロジェクトのつくり方」。

【INDEX】後編では5をご紹介。

1 違和感が、行動のはじまりだった──フェムテックを“自分ごと”にした瞬間。


2「話してもいいんだ」と思える空気が、社内を変えていく。


3「体験してもらうこと」が伝わる近道──フェムテックイベント「J:COM meets Femtech!」が生んだ気づきと共感。


4 本社だけでは意味がない。本音を話せる場を全国へ。


5フェムテックチーム「Audinary(オーディナリー)」に込めた願い──“ふつう”に話せる社会へ。


フェムテックチーム「Audinary(オーディナリー)」に込めた願い──“ふつう”に話せる社会へ。

― これまでのご経験から、「まだ取り組みができていない企業の方々」が第一歩を踏み出すためのヒントやポイントなどがあれば教えてください。

小橋さん:まず「知る」ということは、選択肢を広げることにつながると思うんです。でも、それを押しつけたくはない。押しつけることで、かえって敬遠されるものにはしたくないんですよね。

だからこそ、最初は本当に小さな輪でいいのかなと。たとえば、自分のパートナーや家族、上司、同僚など、身近な誰かと少し話をしてみる。それだけでも十分な一歩になるし、話すきっかけをつくること自体が、取り組みのはじまりになるのではないかなと思っています。

実際、企業の方から「何かしたいけど、何からはじめればいいかわからない」という声をたくさんいただきます。そんな時、私たちがサポートできることがあるなら、ぜひ力になれればと考えています。
最終的には、「仲間づくり」が鍵になるのではないでしょうか。部署や企業の枠を超えて、つながりを広げていければ、大きな力になりますから。

遠藤さん:私は、13名の有志メンバーのひとりとしてこのプロジェクトに参加し、2024年3月の東京開催の社内イベントではセミナーに登壇し、社員の声として体験談を話しました。
それまで自分の健康について公の場で話す機会はほとんどなかったのですが、当日はPMSや月経痛など、自分自身がこれまで向き合ってきた課題について、話せる範囲でお話しさせていただきました。
参加者は20〜30名ほどで少し緊張もありましたが、「これは私個人の一例です」と前置きし、言葉を選びながら、自分の体験を通して少しでも伝わるものがあればという思いで臨みました。

女性の健康課題は一時的なものではなく、生涯にわたって向き合うものです。ライフステージによって課題は変化するので、一度の発信で終わりではなく、継続的な取り組みが大切だと感じています。

私の部署は男性が多く、女性の健康課題が話題になることはほとんどありませんでした。でもセミナーをきっかけに、「女性ってこういう大変さがあるんだと初めて知った」「家族にも配慮したい」といった声を聞くことができて、本当にやってよかったと感じました。

関根さん:ポイントのひとつは、「フェムテック」というキーワードそのものの存在です。
女性の健康課題は以前からあったにもかかわらず、ここまで注目されるようになったのは、「フェムテック」という言葉が明確に存在するからだと思います。この言葉があることで、「このテーマで何かやってみよう」と社内でも動きが生まれやすくなるんですよね。

私たちの場合、「Audinary(オーディナリー)」というチーム名で活動していますが、これが社内外で象徴的な存在となり、関連情報が自然と集まるようになりました。

たとえば、以前の上司や同僚から「このニュース、知ってる?」と連絡をもらったり、鈴木には経営幹部から直接、情報の共有があったりします。
そういった意味でも、まずは“旗印”となるわかりやすいチームやプロジェクトを立ち上げることが、社内浸透の第一歩になると感じています。

― フェムテックチーム名の「Audinary(オーディナリー)」について教えてください。

小橋さん:英語の「普通の(ordinary)」という意味に加えて、ラテン語の「アウディーレ(audire)」=“傾聴する”というニュアンスも重ねています。
私がこの名前を提案した理由は、「健康課題について話すことが、“ふつう”になってほしい」という願いからでした。
自分自身のことはもちろん、周囲の誰かの違和感や不調に対しても、自然に耳を傾けられる社会であってほしいと考えています。

よく例に出すのは、「花粉症でつらいです」と言った時、「なぜそんなこと話すの?」と否定されることはありませんよね。それと同じように、「今日は生理痛が重くて…」と言った時も、「そうなんだ、お大事に」と自然に返せるような社会を目指したいと思っています。

― 社内でフェムテックの取り組みを広げていくうえで、どのような工夫が効果的だと感じていますか。

鈴木さん:やはり、社内に“象徴的な存在”となるチームや、“エバンジェリスト(伝道役)”となる人がいることで、活動は一気に前進すると思います。
「誰が、どんな想いで取り組んでいるか」が社内外に可視化されることで、情報も集まりやすくなりますし、周囲を巻き込む力にもなります。「Audinary(オーディナリー)」も、まさにその役割を果たしているのではと感じています。

それと、もう一つ強く感じているのは、「男性が中心となって関わること」の意義です。もし私が関わらずに、女性だけでこのプロジェクトが進んでいたら、どうだっただろう?と想像することがあります。

実際、「男性社員が発起人」「メンバーの約半数が男性」という情報を出したことで、多くの男性社員が「これは自分ごとだ」と思ってくれるようになりました。
私たちの周りには、パートナー、家族、同僚、部下など、大切な女性がいます。その方々の声に耳を傾けることは、誰にとっても必要なことだと思います。

グループ会社でも、男性が主導したことでスムーズにプロジェクトが立ち上がった事例もあります。「自社にはそういう人材がいない」と思うかもしれませんが、私は「どの企業にも、きっとそういう人がいる」と信じています。

実際に社内アンケートでも、「パートナーの不調に気づいていた」「部下の様子に配慮していた」といった男性社員の声がたくさん届きました。そういった方を見つけて、巻き込んで、先頭に立ってもらうくらいの気持ちで進めていけば、社内の動きもぐっと加速すると思います。
大切なのは、女性だけの取り組みにしないことです。

― 最後に、今回のインタビューを通じて、伝えたいメッセージがあればお聞かせください。

鈴木さん:ありがとうございます。この場をお借りして、2点お伝えしたいことがあります。

1点目は、今後もフェムテックに関連したイベントを社内で継続的に開催していきたいということです。展示製品のラインアップもさらに充実させていきたいと考えています。将来的には社内イベントでの販売なども視野に入れています。

そのため、「社員に製品を触ってもらいたい」「認知拡大に協力したい」といった企業さまがいらっしゃれば、ぜひお気軽にご連絡いただけると嬉しいです。

2点目は、私たちが社内で積み重ねてきた知見を、他社の皆さまとも積極的に共有していきたいという想いです。「イベントをどう企画すればいいかわからない」「社内にどう伝えればいいか迷っている」といったお悩みに、できる限りお応えしていきたいと思っています。

特に「やってみたい」という想いを持った方がいらっしゃれば、私たちがその方の背中を押すサポートを全力で行います。
私たちが前に立つ必要はありません。その方が活動しやすいように、伴走することができればと考えています。展示支援や講話なども柔軟に対応できますので、ぜひお気軽にお声がけください。

多くの企業さまと手を取り合いながら、この取り組みが社会全体に広がっていくことを、心より願っています。

【Company Data】

JCOM株式会社(ブランド名 J:COM、本社:東京都千代田区)は、1995年に設立された国内最大手のケーブルテレビ事業・番組供給事業統括運営会社です。ケーブルテレビ事業は、札幌、仙台、関東、関西、九州・山口エリアの11社65局を通じて約573万世帯のお客さまにケーブルテレビ、高速インターネット接続、電話、モバイル、電気、ホームIoT等のサービスを提供しています。ホームパス世帯(敷設工事が済み、いつでも加入いただける世帯)は約2,372万世帯です。番組供給事業においては、14の専門チャンネルに出資及び運営を行い、ケーブルテレビ、衛星放送、IPマルチキャスト放送等への番組供給を中心とした、コンテンツ事業を統括しています。
※世帯数は2025年4月末現在の数字です。

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