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【株式会社TRyAS取材インタビュー】後編:信頼の作り方とプロダクトのこだわり、これからの展望
株式会社TRyAS
2026.02.27 11:00

株式会社TRyASが展開する吸水ショーツブランド「PlayS(プレイショーツ)」について、開発・事業責任者の坂上大介氏にお話を伺いました。
前編で見えてきたのは、「分かったふりをしない」「ユーザーの声を聞き続ける」というPlaySの姿勢でした。
では、その姿勢はどのように“信頼”につながっているのか。
後編では、あえて「漏れる」と伝える情報開示の考え方、毎日届く相談への向き合い方、そして「濡れ戻りのなさ」やデイリーモデルの開発など、プロダクトのこだわりとこれからの展望までを聞いていきます。
誠実さの証明:「あえて『漏れる』と伝える」広報戦略
ー「漏れない(にくい)」という表現について、あえて慎重に伝えている部分があれば、その理由を教えてください。
(坂上氏)
うちは「漏れない」「漏れにくい」はあまり使っていません。というのも、うちは「漏れる」と言っています。
公式サイトの「よくある質問」では、商品をご使用いただいた148人中13人が漏れたこと、全員2日目だったことを開示しています。吸水ショーツはまだ信用されていないので、ごまかさずに、許容範囲を超えたら漏れます、と伝えたい。許容量を20ml、40mlと言われても分かりにくいので、具体的な実例として出しています。
さらに漏れた人は全員40代で、生理の経験値があるから「これぐらいなら大丈夫」と粘ってしまった、という話もありました。そうした情報も含めて、漏れないと言い切るのではなく、漏れたときにどうするか、なぜ許容範囲を超えたのか(部活が長かった、会議が長くてトイレに行けなかった、交換できなかった等)を一緒に考えていきたいと思っています。
徹底した「課題解決」:他社製品さえも薦める姿勢
(坂上氏)
問い合わせは毎日来ます。困ったことがあれば、公式サイトの問い合わせフォームから直接ご連絡ください、とお伝えしています。
お客さんとのやり取りは基本的に全部自分で行っていて、話を聞いてその人に合う方法を伝えています。
サイズ相談もありますが、週末のマラソン大会で使う相談、初潮が始まりそうな娘のために使いたい相談、生理周期が不定期で、不安だという相談など、困りごとを率直に打ち明けてくださることも多いです。
うちの商品にこだわらず、ユニクロさんがいいですよ、ベアさんがいいですよ、とおすすめすることもあります。
目的は商品を売ることではなく、生理の課題を解決したい、というところにあります。
■ 機能面での差別化:吸収量よりも「濡れ戻り」の解消
(坂上氏)
一番こだわっているのは、吸水した後にどれだけ早く乾いて不快感が残らないか、つまり“濡れ戻り”のなさです。経血を吸収したあと、トイレではき直した際にヒヤッと冷たく感じたり、気持ち悪さが残ったりすることが一番嫌だという声を多く聞きました。だからこそ、そこを重視しています。
また、他社製品ではナイロン系の生地が肌に食いつくように感じ、自転車に乗るときなどに不快感が出るという声もありました。うちは肌に触れる面をやわらかくし、乾きも早くしているので、無駄なひっつきが少ないという評価につながっています。
■ 「デイリーモデル」誕生の背景

デイリーモデル
(坂上氏)
スタンダードを毎日使っている人が多かった一方で、スタンダードは毎日使うには少し窮屈な面もありました。デザインも真っ黒なので、もう少しデイリーで使いやすいものを、という発想からデイリーを作りました。
ー試作品の段階で、「ここは大きく変えた」というポイントがあれば教えてください。
(坂上氏)
2020年当時、世の中にあった吸水ショーツは、吸収体の部分が黒いものが多かった。自分も黒でいいと思っていましたが、工場で色見本を決める打ち合わせに、たまたま来ていたアルバイトの女性が「黒だと見えにくい」と言ってくれました。洗い残しも分かりにくいし、量も分かりにくい。そこで「紫とかどうですか」と提案され、紫に変更しました。下着としての高級感もあり、洗い残しや量も分かる、という理由です。
当時、黒以外にしたメーカーは少なかったと思いますが、そうした選択も含めて、女性の声で変わった部分です。
これからの展望
ーどんな人に届けたいですか?
(坂上氏)
吸水ショーツの会社というより、最初はスポーツをする女性のコンディションを支えるブランドでありたいと思っていました。そこからスポーツに限らず、生理の時期に働く人など、日常の快適さやパフォーマンスに関わる領域にも広がりがあると感じています。
部活を回ったり、スポーツチームと話したり、バレエの会場でお母さんたちと話したり。そうした現場で集めた声をプロダクトにフィードバックしていくことをこれからも続けたいです。
また、機能性を押し出す前に、吸水ショーツ業界としてやらないといけないことがまだたくさんあるとも感じています。今は吸水ショーツ自体が誰でも作れる時代になってきていて、機能だけでアプローチしても難しい。だからこそ、どう伝えるか、どう不安を減らすか、といった部分がより重要になっていると思います。
ー今後、吸水ショーツ以外にも展開を考えていることがあれば教えてください。
(坂上氏)
言えないことも多いのですが、目的はあくまで「生理の課題を解決すること」です。ナプキンの不快感は吸水ショーツで解決できることもある一方で、PMSは解決できない。仕事で生理痛がしんどくて休みたいけど上司に言いにくい、という環境の課題もショーツだけでは解決できません。
そうした「プロダクトでは解決できない課題」をどう解決していくか、アイデアと準備は進めています。プロダクトは結果であって、目的は課題解決。その考え方は変わりません。
■会社概要
株式会社TRyAS
住所:〒105-0014 東京都港区芝2丁目16-9 芝YSビル3F
代表取締役:杉原愛子
事業内容:スポーツ関連事業 / フェムテック・吸水ショーツ事業
HP:https://plays.co.jp/
https://tryas-inc.co.jp/
■編集後記
「漏れない」と言い切らずに、テスト結果を含めて正直に伝える。困ったときはメールで相談してもらい、ときには他社製品も含めて提案する。PlaySが積み上げてきた信頼は、言葉ではなく、日々の向き合い方そのものにありました。
一方で、吸水ショーツが誰でも作れる時代になった今、機能だけで選ばれるのは難しい。だからこそ必要なのは、不安を減らす伝え方と、現場の声を拾い続ける姿勢です。
プロダクトはあくまで結果であり、目的は「生理の課題を解決すること」。坂上氏の言葉からは、その軸をぶらさずに、スポーツの現場から日常へと領域を広げていく意思が伝わってきました。
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